2015年6月28日日曜日

今日のスペイン語(333)  アルゼンチン・ジョーク

  今週は、アルゼンチンに近い某国に出張中だが、こんなジョークを耳にした。

(スペイン語)
--¿Sabes que van a canonizar al Papa Francisco por el milagro que ha hecho?
--¿Qué milagro?
--¿No te parece milagroso, ser argentino y modesto a la vez?

(日本語)
「フランシスコ教皇が、奇跡を起こしたと認められて列聖されるそうだよ。」
「何の奇跡?」
「アルゼンチン人なのに謙虚なのは、奇跡じゃないか。」

(解説)
1 キリスト教で聖人(santo)とするには、通常その人が奇跡を行ったかどうかが審査される。なお、ほとんどの場合、聖人とされるのはすでに亡くなった方である。

2 近隣諸国の目に映るアルゼンチン人は、例外なく、自己顕示欲が強くて、傲慢で、遠慮がなくて...、と大変評価が厳しい。しかし、そのアルゼンチン出身のフランシスコ教皇は、穏健・謙虚・誠実な人柄で知られている。これを奇跡と言わずして何が奇跡だろうか、というのがこのジョークのツボである。

3 この種の、他国の国民性を話題にするジョークはTPOを十分に考慮する必要があるので、注意しよう。

4 列聖に関する単語や表現については、「今日のスペイン語(41) 列聖」も参考願いたい。

 

2015年6月18日木曜日

今日のスペイン語(332)  ジョーク:大金持ちの買い物

 世の中には、我々サラリーマンと違う、超大金持ちが生息しているようだ。地中海に島を持っているとか、海外旅行はプライベート・ジェットで行く等々、その行動パターンや発想は、想像を絶するものがある。今日のジョークは、そういう超大金持ちのびっくり購買行動について。

 
(日本語)
 (△△国の)大金持ちがベンツのディーラーに行って、S600の新車を今すぐに売ってほしいと注文したところ、

店員は、その客が先週同じモデルを買ったのを思い出して:「お役様のおっしゃる通り、直ちにお売りできます。ところで、何故同じものをご所望なのですか?」

大金持ちが言うには:「あれは灰皿がもう一杯になったんでね。」

 
(スペイン語)
 Un millonario de △△ entra en un concesionario de Mercedes- Benz y pide un S600 nuevo y al instante.

El dependiente que se acuerda de haberle vendido uno igulalito la semana pasada primero le dice: "Lo que usted diga, señor.” Y luego le pregunta “¿Para qué quiere otro?“

El millonario le dice "Es que el cenicero ya está a revosar.”


解説
 最近何回かアップしているものと同様、このジョークも、着せ替え人形的に、いろいろなバージョンを創ることができる。

△△の国名にサウジアラビアとかカタール、ロシア等の資源大国名を入れると、必ずうけるだろう。

「大金持ち」を「土地成金」とか、「金持ちの道楽息子」に替えてもよい。

さらに、洋服やダイヤの指輪を一回身に着けたので新品を買うとか、旅行先でゆっくりゴルフをしたいのでゴルフ場を2~3個買ってしまうとか、他の突飛な行動を使った多くのバージョンもできるだろう。

このジョークのポイントは、汗水たらして金持ちになったのではなく(そういう人は無駄遣いをしない)、労せずして棚ボタで金持ちになった人が、如何に世間の常識と離れた突飛な発想をするか、を茶化すことにある。

今日のスペイン語(331)  ジョーク 働く従業員

 ビジネスマンが、海外で取引先の会社、役所や団体を訪問する際、会話の口火を切るために、組織の規模や人員を尋ねることがある。以下は、そんなシチュエーションを想像して読んでほしい。

 
(スペイン語訳)
Visitante: ¿Cuántos trabajan en su compañia?
Presidente: Un tercio, más o menos.

(日本語)
訪問者:「御社では何名が働いていますか?」
社長:「だいたい三分の一ですね。」

 
解説
1 訪問者は会社の従業員数を尋ねたのだが、社長はこれを、「従業員の中には給料泥棒みたいな奴もいるだろうが、そういう連中を除いて、どのくらいの人数が本当の意味で働いているのですか?」という質問と誤解し、本当に働いているのは三分の一程度と答えた、という話。社長は、質の悪い労働力に困っているんですよ、と言いたかったのであろう。

2 これは、私が某国の某所を訪問した際、実際に経験した話。正確に言えば、ジョークのつもりではなかったようだが、期せずして秀逸なジョークになってしまった。

3 このジョークは、固有名詞を入れ替えれば、応用範囲がとても広い。会社でなく役所(su Ministerio)、国連(Las Naciones Unidas)、欧州委員会(la Comisión Europea)、協会やその他組織(Asociación, Federación, Organización)等々で、社長でなく大臣(Ministro)、理事(Director Ejecutivo)や部長(Director)等が応答するというバージョンが沢山できるだろう。

 

2015年6月17日水曜日

今日のスペイン語(330)  ジョーク:経済困難と戦争

 何回か話題にしているように、現在ユーロ圏の抱える大きな問題はギリシャの債務と経済再建である。経済困難に直面する国が話題になる時、しばしば語られるジョークを思い出した。

(日本語)
 (○○国の)経済が壊滅寸前となった時のこと

 経済大臣が首相に:「解決策は対米戦争です。米国に負ければ(日本)のように物凄く経済発展します。」

 首相:「戦争をするのはいい考えだが、もし我々が勝ったらどうするんだ?」

 
(スペイン語)
 Cuando la economía de (nombre de un país) está a punto de caerse...
 
 El Ministro de Economía al Primer Ministro: "La mejor solución es declarar la guerra contra Estados Unidos. Perdemos la guerra y entramos en un tremendo desarrollo económico como lo hizo Japón."

A lo que contesta el Primer Ministro: "Eso de la guerra me parece buena idea. Pero, ¿si le ganamos?”

 
解説
 ○○国の国名には、その時々の世界経済を見渡して、いろいろな国の名前を入れて応用できそうだ。尤も、まさか米国が負ける訳のない(と考えられている)国でないと、ジョークではなく怖い話になってしまうので要注意。また、戦後の日本経済が大いに発展したのは確かだが、バブル崩壊後の停滞もあって、今ではちょっとジョークの効果が薄れているかもしれない。
 最近のEU経済を見ていると、「日本」の代わりに「ドイツ」とするのも理解されやすいかもしれない。
 さらに、経済大臣や首相のところに(VaroufakisとかTsiprasなど)固有名詞を入れると、一層面白くなるが、あまり刺激的にならないよう、外交的な配慮も必要である。

2015年6月11日木曜日

今日のスペイン語(329)  十戒

 前回(今日のスペイン語(328))のジョークで、Jaimitoが解説した十戒 (Los Diez Mandamientos)。悪ガキのJaimitoでさえ知っているように、スペイン語圏のカトリック教徒にとっては常識である。非キリスト教徒が使うことはないだろうが、知っておくと必ず役に立つ。

(スペイン語)
1 Amarás a Dios sobre todas las cosas.
2 No tomarás el Nombre de Dios en vano.
3 Santificarás las fiestas.
4 Honrarás a tu padre y a tu madre.
5 No matarás.
6 No cometerás actos impuros.
7 No robarás.
8 No dirás falso testimonio ni mentirás.
9 No desearás la mujer de tu prójimo.
10 No codiciarás los bienes ajenos.

(日本語訳)(カトリック中央協議会訳)
1、 わたしはあなたの主なる神である。わたしのほかに神があってはならない。
2、 あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。
3、主の日を心にとどめ、これを聖とせよ。
4、あなたの父母を敬え。
5、殺してはならない。
6、姦淫してはならない。
7、盗んではならない。
8、隣人に関して偽証してはならない。
9、隣人の妻を欲してはならない。
10、隣人の財産を欲してはならない。


(解説)
 実は、十戒といわれるものに、宗教や宗派によって異なったバージョンがある。それに加えて各国語に訳される際に、必ずしも翻訳のベースである原文を必ずしも字句通りに訳していない例もあるようだ。例えば9番目の戒律は、別のバージョンでは“No consentirás pensamientos ni deseos impuros.”となっている。

 

2015年6月9日火曜日

今日のスペイン語(328)  相対性理論

 今年は一般相対性理論100周年というニュースをよく聞く。相対性理論を説明するのは難しいが、その名は良く知られており、日常会話にもよく登場する単語である。説明を求められたら、次のジョークで切り返すのも手であろう。

(スペイン語)
Profesora: Dime, Jaimito, ¿cuántos son los mandamientos de la Ley de Dios?.
Jaimito: Los mandamientos son... Bueno, es relativo, profesor.
Profesora: ¿Cómo que es relativo?
Jaimito: Es relativo, porque si son para hombres son diez, pero si son para mujeres son nueve, porque las mujeres no pueden desear la mujer del prójimo, al menos que sean lesbianas.

(日本語訳)
先生:ハイミート、神様の戒めはいくつありますか?
ハイミート:戒め...先生、それは相対的です
先生:相対的だって?
ハイミート:男性にとっては10だけど、女性には9つです。だって、レズビアンでなきゃ「隣人の妻を欲する」ことはできないでしょ。だから相対的なんです。

 (解説)
1 相対性理論はスペイン語では“Teoría de la Relatividad”。

2 スペイン語の“relativo”は、(絶対的でなく)“相対的な“とか”~に関連するところの“という意味の、ごく普通の単語。尤も、「場合によるね」(”Depende“や”Según“)というべき時に、アインシュタインの相対性理論を念頭に置いて、この例文のように、ことさら難解に聞こえるような表現をするために使われることがある。

3 先生の質問した“los mandamientos de la Ley de Dios”とは、神がモーゼに授けた十戒(los Diez Mandamientos)のこと。ハイミート(スペインのジョークに頻出する悪ガキ)が引用した十戒の諌めは、“No desearás la mujer de tu prójimo.”ジョークの意味は自ずと明らかである。

2015年6月5日金曜日

今日のスペイン語(327)  第5列

 スペイン内戦(1936年~39年)時に生まれたスペイン語が、今や国際化しているという例。軍事やスパイ小説に詳しい方はよくご存じの「第5列」。

(スペイン語)
 “La quinta columna de la Yihad en Europa
La policía belga comenzó la eliminación de una red de centros de reclutamiento para las bandas de rebeldes sirios. Los reclutadores operan en toda la UE y los islamistas mercenarios, una vez que regresan de la guerra, resultan útiles para ser empleados en la propia Europa.
http://mundo.sputniknews.com/spanish_ruvr_ru/2013_04_18/La-quinta-columna-de-la-yihad-en-Europa/

 
(日本語訳)
 「ヨーロッパにおけるジハードの第5列」
 ベルギー警察は、シリア反政府勢力のリクルート・センター網を排除し始めた。リクルーター達はEU全域で活動しており、傭兵となったイスラム主義者は、(シリアの)戦争から欧州に戻ると、今度は欧州で(の戦闘員として)雇われるのに都合が良いという訳である。


(解説)
 第5列の「列」(columna)は、軍事用語で「縦隊」とも呼ばれ、縦列に並んだ部隊の戦闘隊形のこと。スペイン内戦中、反乱軍は4列(縦隊)が首都マドリード攻略を進めていたが、反乱軍のEmilio Mola将軍が、「わが方には更に第5列(quinta columna)もある」と述べて、この名称が生まれたと言われる。共和国側の拠点マドリードであったが、その内部には反乱軍に忠誠を誓う者がおり、彼らは言わば反乱軍の5番目の縦隊であるかのように、首都内部で反乱軍側に立って戦闘行動を起こす、という趣旨である。直訳である“fifth column”(英語)や「第5列」のように、国際化したスペイン語である。

 スペイン内戦だけでなく、第二次大戦前のチェコやポーランドに住むドイツ系住民が自衛団と称してドイツの侵略に手を貸したことは良く知られているが、最近のウクライナで起きていることが示すように、「第5列」が依然死語になっていないのは不気味である。

 現在では、相手国内部に住んでいるものの、宗教・民族・思想信条等の理由でスパイ(隠れ兵力)をしており、有事にあたっては居住国に対する裏切り行為を働く者達といった程度の意味で使われる。

 この例文は、EUに住むイスラム教徒がシリアの戦闘に参加した後にEUに戻ってくると、ジハーディスト(イスラム過激派)の第5列になるのではないかという記事。日本にはどんな第5列が入り込んでいるのだろうか?

2015年6月4日木曜日

今日のスペイン語(号外 天安門事件)

 6月4日は天安門事件のメモリアル・デイ。事件から26年を迎える今日、1年前に掲載した記事を改めてアップする。「決して風化させてはいけない」というメッセージである。
 
今日のスペイン語(81)  5月35日

  6月4日は、天安門事件25周年。スペイン語圏でも各紙が特集を組む等して取り上げた。スペインの新聞から(あまりに長い記事なので)ごく一部を取り出してみた。アジアについてスペイン語圏で語る時、固有名詞(地名や人名)のスペイン語風発音を知らないと困るので、この記事をきっかけに少し覚えておこう。
 Hace hoy 25 años, en la noche del 3 al 4 de junio, los tanques del Ejército Popular de Liberación (EPL) entraron en las calles de Pekín con una orden tajante: desalojar la plaza Tiananmen de los miles de manifestantes que la ocupaban. Antes de 6 de la mañana. Como fuera. (中略)Los soldados se abrieron paso hacia la plaza a disparos, y varios cientos de personas –más de mil, según algunas fuentes- murieron bajo las balas del Ejército y aplastados por los acorazados en las calles que conducen a Tiananmen. (中略)Para las 5.40 del 4 de junio, Tiananmen había sido desalojada, y el sueño de reformas y democracia de toda una generación de chinos se evaporó.(中略)

 Un cuarto de siglo después, el Movimiento Prodemocrático de 1989, como es denominado, y su(la?) violenta represión continúan siendo tabú para el Gobierno, que este año ha redoblado los esfuerzos para borrarlo de la memoria colectiva y ha reprimido con dureza cualquier intento de los familiares de las víctimas y activistas de conmemorar a los fallecidos.(中略)

  El dramático episodio es obviado en los libros de texto, el término “4 de junio” –o “6, 4”, como es llamado en China- está vetado en Internet, y sus referencias en las redes sociales son borradas rápidamente por los censores, aunque algunos internautas intentan saltarse los filtros con términos como 35 de mayo.(中略)

 Lo sucedido aquella primavera de 1989 continúa teniendo una alta carga política y emocional en China, como prueba (d)el nerviosismo del Gobierno, que incluso ha advertido por medio de la policía a periodistas extranjeros que no entrevisten a “personas sensibles” ni visiten “sitios sensibles”, que no ha detallado, o se exponen a “consecuencias muy graves”, en una velada amenaza sobre la posible cancelación del permiso de residencia. Algunos de quienes lo han hecho han sido interrogados durante horas mientras eran filmados con cámaras de vídeo.(以下略)(6月3日付El Paíshttp://internacional.elpais.com/internacional/2014/06/03/actualidad/1401776160_306349.html

 
(日本語訳)
 25年前の今日、6月3日の夜から4日にかけて、人民解放軍の戦車が、厳格な命令を受けて北京市内に入った。その命令とは、「天安門広場から数千人の抗議者達を排除せよ。翌朝6時までに。手段は問わない。」である。(中略)兵士達は発砲しながら広場に向かい、数百人が(数千人との情報もある)、天安門広場周辺の街路で、軍の銃弾の犠牲となり、或いは装甲車にひき潰されて命を失った。(中略)6月4日の午前5時40分までに、天安門広場から人々が一掃され、当時の中国国民が夢見た改革と民主主義も消え去った。

四半世紀の後、1989年民主主義推進運動(と呼ばれる動き)と、それに対する暴力的な弾圧は、政府にとり依然としてタブーである。中国政府は本年、この事件を人々の記憶から消し去るための企てを更に強化し、犠牲者の家族や活動家達が殺された人々を追悼する如何なる試みも、厳しく弾圧してきた。(中略)

  この悲劇的事件は、教科書から消され、「6月4日」、或いは中国で言う「6.4」はインターネット・アクセス禁止であり、ネット上でこの事件に言及すれば、検閲者達によって直ちに削除されてしまう。尤も、ネットユーザーの中には、「5月35日」のような用語で検閲をすり抜ける者もいる。(注:6月4日は5月でいえば35日にあたる。)

  1989年春の事件は、未だに中国にとって政治的、感情的に大変な重荷である。中国政府は非常に神経質になっており、警察を通じて外国人記者達に対して、「機微な人物」への取材と「機微な場所」への訪問を控えるべきであり(誰が、どこが機微なのか明言しないものの)、さもなくば居住許可の取り上げのような「重大な結果」を招き得る、と警告してきた。(この警告にもかかわらず機微な取材等を敢行した)何名かの記者は、録画されながら何時間も尋問された。(以下略)

 
(解説)
1 このブログ記事のタイトルを何故5月35日としたかは、もうお分かりと思う。昨年北京に行った際、6月4日や天安門等のキーワードを、日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語とフランス語で検索してみたが、全てアクセスを拒否された。中国語のliu si6.4)はもちろんアウト。

2 私達日本人は皆、学校で世界史や世界地理を習ったので、アジアについては、英語圏やスペイン語圏の人達と比較にならない程多くの知識を持っている。ところが、いざ議論になると、肝心の固有名詞がスペイン語で出てこず(日本語で発音しても通じないし、まして漢字を書いても意味がない)、悔しい思いをした記憶がある。今や、中国情勢は話題になることが多いので、名の通った中国人の名前くらいはスペイン語でも言えるようにしておきたい。以下はほんの一例。なお、発音はアルファベット読みで可。

Hu Yaobang胡耀邦
Zhao Ziyang(趙紫陽)
Deng Xaoping(鄧小平)
Li Peng(李鵬) 以上、天安門事件関係者。
Mao Zedong(毛沢東)
Xi Jingping (習近平 国家主席)
Li Keqiang (李克強 首相)
Wang Yi(王毅 外相)
Sun Yat-sen (孫文)