2014年3月31日月曜日

今日のスペイン語(12) 挨拶の常套句 その必要性

 このブログでは何回か、スペイン語圏で会議やセミナーに参加する時に使える常套句(型どおりの表現)を紹介している。今日は、どうしてこういう常套句を覚えておくことが、ビジネスマンに必須なのか、少々背景説明をしておきたいので、ちょっとの間おつきあい願いたい。
 
日本社会では、公式な行事の機会には、型どおりの挨拶が期待されている。あなたの会社が多数の人達を招いてセミナーを企画したが、あいにく当日雨天になってしまった。そんな時、わざわざ来て頂いた参加者に対して、司会者はまず「本日は足元の悪い中、ご参集頂きまして、誠にありがとうございます。」と挨拶する。日本の社会では、誰しも、どういう機会に、何を、どんな言い方で喋ったらよいのかは、仕事を通じて当然に学び、自然に口をついて出てくる。公式の場で、型どおりの言い回しの出来ることが、成熟したビジネスマンの証とみられることは、言うまでもない。まさか「天気悪いけど、来てくれたんだね。ありがとう」といったタメクチの挨拶をするような人はいないだろう。しかしこれがスペイン語となると、どうだろう。かなりスペイン語を学んだ筈の人であっても、日本語のように、口をついて咄嗟にでてくるだろうか。スペイン語を学ぶ日本人向けに、こういった表現を丁寧に説明してくれる教科書にはお目にかかったことがない。私自身も、かつてスペインに留学してスペイン語をかなり習得したつもりだったが、いざ公的な場で挨拶をする段になって、このような「型通りの挨拶」をするのに苦労した覚えがある。
 
 皆さんは、スペインや中南米で勤務し、公式な交渉会議やレセプションで、挨拶や乾杯の発声を求められることが多々あるに違いない。商売柄、私は会議やレセプションや講演会、工場開所式などの公の場にしょっちゅう招かれる。こういう場合、必ず前もって、挨拶や発声を期待されているのかどうか確認することとしている。挨拶の予定があれば、当然それなりの準備をして、緊張して本番に臨むこととなる。一方、自分の出番はないと確認し、安心して現場に赴き、ゆったりと構えていても、「本日は大使館からSr.Watanabeにお越しいただいているので、一言ご挨拶をお願いします」と指名されて、急に挨拶をするはめになるのも、実は日常茶飯事である。これは、日本大使館を代表して出席している私だけに降りかかってくる運命ではない。一緒に式典や会議に出席する日本企業の皆さんが同じく「突然のご指名」に逢っているのを、何回も目にしてきた。こういう時に、「突然のご指名ですので、きちんとしたお話もできませんがなどとは決して言ってはならない。突然の指名であっても、何十人、何百人の式典参加者はそんな事情を知らないのであり、もっと恐ろしいことに、貴方は日本政府(大使館)や所属企業の代表として挨拶しなければならないのである。こういう場では、大向こうをうならせるような大演説が期待されるのではなく、型通りの平凡な内容であっても、何よりもまずしっかりとした、恥ずかしくない挨拶が必要とされるのである。
 
そこで、このブログでは時々、私が過去に経験してきたいろいろな場面を念頭において、典型的な「型通りの挨拶」や常套句を紹介したい。もちろん、以下に掲げる他にも、いろいろな言い方があるし、個々人の好みや、流行り廃りもあるので、経験を積むにつれて、自分らしい「常套句」を作り上げていくのが理想的と思う。また、慣れてきたら、常套句に加えて、自分なりの得意のフレーズやネタを何通りか頭の中に用意しておくとよい。
 
以上をご理解の上、今後もおつきあい願いたい。
 
 

0 件のコメント:

コメントを投稿