<スペイン語>
Mientras el enfermo está en la cama, dos médicos cambian
impresiones en voz baja.--A este señor hay que operarle enseguida. –dice uno de ellos.
--¿Qué tiene? --pregunta el otro.
--Mucho dinero.
(日本語)
患者が床に伏している間、二人の医師が小声で印象を述べあっている。「この人は直ちに手術の必要がありますね。」
「何(の病気)を持っているんですか?」
「大金ですよ。」
(解説)
(1)
このジョークは、いわゆる言葉遊びで、或る単語が複数の意味を持ち、そこから生じる誤解が笑いを呼ぶという型である。最初の医者は、(例えばcáncer(癌)とかhepatitis(肝炎)などの)病気を「患う」という意味の“tener”、二番目の医者は大金(財産)を「所有する」という意味の“tener”を念頭に置いている。
(2)
“tener”という動詞は、何か(モノや状態)を「持つ」という基本を押さえておけば、スペイン語で読み、使う分にはあまり困らないが、日本語に訳すには少々工夫が要る。“Tiene
el pelo rubio.”((彼女は)金髪だ)、 “Tengo una cita.”(約束がある)、“Tengo mucho trabajo hoy.”(仕事が一杯ある)、“La casa tiene cinco años.”(5年経っている)、“Tengo frío.”(寒い) “Tiene algo de nobleza.”(ちょっと高貴なところがある)... いやはや、多すぎて「tener=持つ」だけではとても歯が立たない。日本語を学ぶ外国人の苦労は大変なものだろうと察する。上記例文の日本語訳がこなれていないのも、ご理解をいただけるものと期待する。
(3)
このジョークは“tener”という一つの単語が多様な意味を持つことに着目しているが、違う単語が同じ発音である場合、つまり同音異義語は、スペイン語にもある。“vino”が「ワイン」という名詞と「来た」という動詞の過去形のいずれにも解されるといった類である。尤も、同音異義語は、日本語の方が圧倒的に多く、外国語に訳すのは非常に難しいか、または不可能とも言える。例えば、
―「新人歌手とかけて夏の終わりと解く」
―「心は?」―「どちらもすぐあきがくる」(注:「秋」と「飽き」)
ついでにもう一つ、
―「一枚でもせん(千)べいとはこれいかに?」―「一個でもまん(万)じゅうと言うがごとし」
さあ、これをスペイン語にうまく訳せるだろうか?
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