2015年2月28日土曜日

今日のスペイン語(277)  竹島

 2月22日は竹島の日だった。式典には内閣府政務官が出席した。不法占拠されている竹島について、海外でも聞かれることがあるので、最低限の知識を持っておきたい。以下、外務省ホームページの日本語及びスペイン語版の関連部分を読みながら、関連用語を勉強しよう。

 
(日本語版)
 竹島は,歴史的事実に照らしても,かつ国際法上も明らかに日本固有の領土です。

韓国による竹島の占拠は,国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠であり,韓国がこのような不法占拠に基づいて竹島に対して行ういかなる措置も法的な正当性を有するものではありません。

日本は竹島の領有権を巡る問題について,国際法にのっとり冷静かつ平和的に紛争を解決する考えです。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/index.html


(スペイン語版)
 Takeshima es indiscutiblemente una parte inherente del territorio de Japón, a la luz de los hechos históricos y de acuerdo con el Derecho Internacional.

La República de Corea ha estado ocupando ilegalmente Takeshima sin ninguna base en el Derecho Internacional. Cualquier medida que la República de Corea tome con respecto a Takeshima en base a dicha ocupación ilegal no tiene ningún fundamento jurídico.

Japón continuará buscando una solución de la controversia relativa a la soberanía territorial sobre Takeshima de conformidad con el Derecho Internacional y de una manera calmada y pacífica.
http://www.es.emb-japan.go.jp/politicaexterior/territory/takeshima/index.html

(解説)
1 竹島や尖閣諸島、北方領土については、是非外務省のホームページを見てほしい。竹島は、古くから日本が領有権を確立していたもので、竹島が日本固有の領土であることには、まったく疑いの余地がない。1905年の1月に竹島が島根県に編入されたのを踏まえ、同年2月22日に島根県知事がその旨の告示を行ったことから、この日が竹島の日とされた経緯がある。

2 「固有の」領土は、通常「一度も外国の領土になったことがない」領土という意味なので、inherenteと訳される。参政権が国民の「固有の」権利というように、当然にして国(人)に属するもので、取り上げることが出来ないもの。

3 「不法占拠」は文字通り”ocupación ilegal”。他人の家を暴力で奪ってそこに居座るのが「不法」であるのと同様の言い方。

4 「冷静かつ平和的に」 de una manera calmada y pacífica)は、我々にとっては当然のことだが、外国人にこの問題につき説明する際は、是非強調してほしい。例えば政府間で問題解決に向けた協議をするとか、国際司法裁判所に付託する等のやり方が考えられる。

5 「国際法」が“el Derecho Internacional”と訳されているが、これは、国際連合憲章、国際司法裁判所規程など、個々の条約や協定等からなる総体としての「国際法」という意味で、大文字かつ単数で表現されているもの。

6 「紛争を解決する」は名詞形にして“solución de la controversia”となっている。このような動詞句を名詞句に替える手法も、翻訳時に結構役立つ。なお、ここでsolución “de”...とあるが、”de”の代わりに”a”とする用例が多いと思う。

2015年2月27日金曜日

今日のスペイン語(276)  ステーキの焼き具合

 時々、アルゼンチンの極上牛肉ステーキの夢を見る。巨大で色よいステーキの姿に目を見張り、牛肉の焼ける香ばしさを楽しみ、鉄皿の上で「ジュー」と焼ける音を聞き、ナイフを入れる触感を楽しみ、そして舌で肉そのものを味わう。まさに5感を駆使してステーキに取り組もうとすると、その瞬間に目が覚めてしまう。

 牛肉ステーキを注文する際に必ず聞かれるのが、焼き具合。日本と違い、肉食の民だけあって、焼き具合の分類も多い。以下、火の通り順に並べたので、是非覚えておこう。なお、各分類の下に書いた解説は、私の個人的感想なので、ご自分の舌で確かめることをお薦めする。

--blue:ブルー
 限りなく生に近い。マグロやサーモンの「炙り」のイメージ。

--jugoso:レア
 「炙り」よりは多少奥まで焼けているものの、相当部分は依然として赤身が残り、真ん中は赤い。“jugoso”(jugo=汁)とは上手く名付けたもので、肉汁の滴る様子が食欲をそそる。私が最も好きな焼き方。

--antes de punto:ミディアムレア

--a punto:ミディアム
 日本でいうミディアムよりミディアムレアに近い。

--pasado de punto又はbien hecho:ウェルダン
 日本のミディアムに相当する焼き方。

--cocido:コシード
 これは食べたことがないので感想はないが、写真で見ると、表面は相当黒く焦げている。

 なお、上記の焼き具合分類は6種類だが、非常に厳密に言うと、プロの間では10種類に及ぶそうである。日本のレストランではご存じの通り、通常4種類(レア、ミディアムレア、ミディアム、ウェルダン)。

 余談だが、「今日のスペイン語」で圧倒的にアクセスの多いのは、今のところ、2014年6月13日の「今日のスペイン語(87)牛肉の部位」、次が同15日の「今日のスペイン語(88)豚肉の部位」。時事用語や政治経済の基本的用語や表現も沢山アップしているのだが、なぜこの二つが人気なのだろうか。

 

2015年2月25日水曜日

今日のスペイン語(275)  自動運転車

 最近よく話題になる自動運転車(またはロボットカー)。トヨタなどの自動車メーカーのみならず、グーグルまで参入してきて、将来が楽しみである。今日は基本的用語の出て来る文章を読んでみよう。

(スペイン語)
 El director del proyecto del Coche Autónomo de Google, adelantó que la compañía ha estado negociando con General Motors, Ford, Toyota, Daimler y Volkswagen para que participen en el proyecto. Según el director se espera un vehículo completamente autónomo listo para comercializarse en un plazo de cinco años.

Los coches autónomos suponen una gran transformación en la evolución del transporte. Permitirán extender la conducción a invidentes, ancianos y discapacitados, para quienes conducir es hoy en día una quimera.

(日本語訳)
 グーグル社の自動運転車プロジェクト・マネージャーは、ジェネラルモーターズ、フォード、トヨタ、ダイムラー及びフォルクスワーゲンと、このプロジェクトに参加するよう交渉してきたと発表した。同マネージャーによると、5年以内に、完全にな自動運転車の商品化準備が完了すると期待されている。

自動運転車は、交通の進化に大きな転換をもたらすであろう。(例えば)現在は視覚障害者、高齢者や障害者にとって運転するのは夢物語であるが、彼らにも運転する可能性が広がることになろう。

(解説
1 自動運転車は、スペイン語ではvehículo (またはcoche autónomoと呼ばれることが多い。coche automáticoはオートマ車の意味なので、「自律的に、自分の判断で運転してくれる」という意味を込めてautónomoなのだろう。尤も、今後普及していくにつれて一般的な呼び名は変わっていくのではないか。その昔、スペインでも流行っていた米国のテレビ番組に出て来た“coche fantástico”という方が、一定年齢以上のスペイン人には分かり易いかもしれない。

2 自動運転車であれば、運転手(というのだろうか?)は、行先を指定するだけで、あとは車がGPSで自らの位置を探り出し、レーダーやセンサーによって衝突を避け、アクセルやブレーキを使いこなして目的地に連れて行ってくれるので、上記にある高齢者等の便宜に加え、事故の減少、渋滞削減、CO2削減などの効果が期待されている。一方で、自動運転ならば飲酒運転しても、スマートフォンをいじっても、眠っていてもよいのか、システムが誤作動した際の対応ができるのか等、新たな問題も起きてくるようである。

2015年2月22日日曜日

今日のスペイン語(274)  花粉症

 いよいよ花粉症の季節が始まった。日本の生活は概ね快適だが、花粉症は日本の数少ない恥部である、と思っていたら、他国にも花粉症があった。以下は、少々古いけれど、スペインの花粉予想に関する記事の一部。以前住んでいた時には全く気付かなかったけれど。

(スペイン語)
 Esta primavera se prevén altos niveles de polen, por lo que será una estación de elevado riesgo para las personas con alergia. Solo un mes de mayo lluvioso podría ‘salvar’ a los alérgicos, pero si se presenta seco y con temperaturas moderadas los niveles de granos en el aire duplicarán los de 2012.

Para realizar la predicción, la Sociedad Española de Alergología e Inmunología Clínica (SEAIC), tiene en cuenta las elevadas precipitaciones, la humedad atmosférica y las temperaturas que hemos tenido en la península desde el mes de octubre.
http://www.agenciasinc.es/Noticias/Esta-primavera-el-polen-golpeara-con-fuerza-a-los-alergicos

 
(日本語訳)
 今春は、花粉の量が多くなると予想され、アレルギー症の人にとってリスクの高い季節となるであろう。5月の雨だけがアレルギー症の人を救うことになるかもしれないが、乾燥して温暖な気温であれば、(花粉症の原因となる)植物粒は2012年の倍になるであろう。

スペイン・アレルギー及び臨床免疫学会(SEAIC)が、(花粉レベルの)予測を行うにあたって考慮したのは、昨年10月以来のイベリア半島における高いレベルの降雨量及び大気中の湿度と温度である。

 
(解説)
1 花粉症は一般にalergia al polenという。文字通り「花粉アレルギー」。

2 スペインはご存じの通り本土(イベリア半島)と地中海、大西洋の島嶼部、北アフリカの飛び地から成る。スペインの天気予報などでla penínsulaという場合、本土即ちイベリア半島のことを指す。

今日のスペイン語(273)  灰の水曜日

 今年も、カーニバル(謝肉祭、即ちどんちゃん騒ぎ)が終わり、いよいよ聖週間に向けて暦が動き始めた。今年は2月18日(水)が「灰の水曜日」。スペイン語諸国はカトリック教徒が多く、生活の中にキリスト教/カトリックの習慣が溶け込んでいるので、いわば社会常識として主要な宗教行事を覚えておこう。

 
(スペイン語)
 Miles de católicos españoles acudirán este miércoles a sus iglesias para la imposición de la ceniza, un rito que "se está perdiendo entre los jóvenes", según expertos, y que marca el inicio de la Cuaresma.

"Las personas mayores siguen teniendo esa tradición, pero en la gente joven se va perdiendo, no así en los colegios religiosos donde sí se impone la ceniza a niños y adolescentes", ha explicado el profesor de Liturgia y maestro de ceremonias de la Catedral de Pamplona, Juan Antonio Goñi, con motivo del Miércoles de Ceniza.



(日本語訳)
 この水曜日、スペインの多くのカトリック教徒たちはそれぞれの教会に行って額に灰を付けてもらうだろうが、専門家によれば、この四旬節の開始を示す儀式は若者の間で失われつつある。

灰の水曜日の機会に、パンプローナ大聖堂で典礼・儀典担当教授を務めるフアン·アントニオ·ゴニは、「高齢者はこの伝統を続けているが、若者の間では廃れつつある。尤も、ミッション系の学校では事情は異なり、児童や若者たちに灰をつけている。」と述べた。


(解説)
1 キリスト教徒にとって重要な聖週間については、昨年4月の「今日のスペイン語(36)」で説明したのでご参照願いたい。イエスが断食を始めた四旬節の始まりが「灰の水曜日」で、今年は2月18日(水)にあたる。断食は(断食をしない日曜日を除いて)40日間なので四旬節(cuaresma)と呼ばれる。40日に6回の日曜日を足すと46日。よって灰の水曜日は復活祭の46日前とされている。今年の復活祭は4月5日(日)である。昨年の説明の繰り返しになるが、復活祭は、春分後の最初の満月の次の日曜日と定められているので、一連の日程は毎年動く。

2 この日には、信徒は自分の属する教会のミサに行き、そこで神父さんから額に灰で十字架の印をつけてもらう。旧約聖書で「人は塵から生まれ塵に戻る」とされており、実際、神父さんが額に灰をつける際には“Polvo eres y en polvo te convertirás.”と言う。灰は死を思い起こし、悔い改めるための道具ということだろうか。

3 その昔、この日に街中で額に煤をつけた人が目に付いたので、不思議に思った記憶がある。なお英語でAsh Wednesdayと言うように、カトリックだけでなく新教でもこの習慣は続けられている。

2015年2月20日金曜日

今日のスペイン語(272)  表現の自由ジョーク その2

 前号に続いて、表現の自由が不十分な国を皮肉るジョーク。日本と比較する点は共通だが、捻り方が違う。実際には、国名入りで、いろいろな機会に頻繁に聞くジョークなので、日本語では既にご存じの方が多い筈だが、私はCharlie Ebdoの英雄達と違って臆病者なので、ここでは伏字バージョンにした。

(日本語)
 日本では表現の自由が尊重されている。どんなに日本の首相の悪口を言っても罰せられない。

 ■■では表現の自由がもっと尊重されている。どんなに日本の首相の悪口を言っても罰せられないばかりか、日本の国旗を焼いても、日本ブランドの店を破壊しても、日本の領海で日本船に体当たりしてもサンゴを盗んでも、決して罰せられない。


(スペイン語訳)
 En Japón se respeta la libertad de expresión: calumnies lo que calumnies al Primer Ministro japonés, no te van a castigar.

 En ■■■■■ se respeta aún más la libertad de expresión: no sólo no te castigan por insultar al Primer Ministro japonés, ni te castigarán por quemar la bandera japonesa, ni por destruir tiendas de marca japonesa, ni por chocar contra un barco japonés ni por robar corales en los mares japoneses...... No necesito poner más ejemplos, ¿no?


(解説)
 言うまでもないが、あらゆるジョークはTPOを考えてから使うことが必要である。特に、他国や他地域の人が取り上げられるジョークはなおさらである。スペインではガリシアやレペの人達が面白おかしくジョークの犠牲者になることが多いが、この種のジョークは、まったく根拠がないだけに、(今日のスペイン語237、239で紹介した経緯はあるものの)我々外国人は使用を控えたいところである。
 

 前号も今回も、本質的にはジョークというよりsarcasmoなので事情は随分異なり、ジョークの姿をした(民主主義、人権、国際法や国際秩序についての)痛烈で真面目な問題提起なのだが、それでも、信頼できる友人、しかも民主主義国出身者の民主的な狭いサークルでのみ、使用可能と心得ておこう。

2015年2月19日木曜日

今日のスペイン語(271) 表現の自由ジョーク

 2月16日、ソウル中央地裁は、日本の記者に対する出国禁止を延長した。韓国の報道を引用して記事を書いたことが大統領の名誉棄損に当たるという容疑で訴追され、しかも昨年来出国を禁止されている事件である。菅義偉官房長官も「報道の自由との関係で国際社会の常識とは大きくかけ離れている。民主国家としてあるまじき行為だ」と強く批判しており、人権、人道問題としても大いに懸念されている。
 そんな時に聞き込んだジョークを一つ。

(日本語)
 日本の閣僚が「韓国のサッカー選手は汚い手を使うので気に入らない」と言ったら、失礼な言辞であると批判が相次ぎ、辞任してしまった。
 韓国の閣僚が「日本人は劣った人種だ」と言ったら、彼の地ではメディアが拍手喝采し、勲章を貰った。
 このように、韓国では日本よりも表現の自由がずっと尊重されている。


スペイン語
 Cuando un ministro japonés dijo que no le caían bien los futbolistas coreanos porque jugaban sucio, le criticaron “por su falta de respeto” y tuvo de dimitir.
 Cuando un ministro coreano dijo; "los japoneses son una raza inferior", los medios de comunicación de su país le aplaudieron y le dieron una condecoración.
 Esto demuestra que en Corea se respeta la libertad de expresión mucho más que en Japón. (^O^)

2015年2月18日水曜日

今日のスペイン語(270)  日経平均株価

 2月16日、日経平均株価の終値が18,000円を超えた。ご承知の通り、株価は2012年下旬まで1万円以下と低迷を続けていたが、その後ほぼ倍増して現在に至っている。
 株価が経済状況を100%正しく表す訳ではなく様々な憶測や思惑にも左右されるものとは言え、日本経済の大きな流れを示す指標として、諸外国でも日経平均株価はビジネスマンやエコノミストがフォローすべき必須の指標となっている。

 
(日本語)
 日経平均株価とは、日本最大の株式市場である東証一部上場企業約1,700社の中から選ばれた225銘柄の平均株価である。日本の景気を判断するための重要な指標として、内外のニュースで頻繁に取り上げられている。

日経平均株価は、現在18,000円前後を行き来しているが(2月18日の終値は18,199.17円)、歴史的な最高値は38,957円で、バブル景気中の1989年12月のことであった。最安値は2008年10月の6,994円で、これはリーマンショックによる景気後退の影響によるものであった。


(スペイン語訳)
 El Índice Nikkei es la cotización media de los 225 títulos seleccionados de entre las 1.700 empresas de la Bolsa de Tokio, el mayor mercado de valores de Japón. Las noticias de dentro y fuera de Japón se refieren con frecuencia a este índice como un indicador importante para diagnosticar la economía japonesa.

Este índice oscila últimamente alrededor de ¥ 18.000 (el precio de cierre del 18 de febrero fue de ¥ 18.199,17). Su valor histórico más alto fue de ¥ 38.957 en diciembre de 1989 durante la época de la economía burbuja. Se registró la cifra más baja(¥ 6.994) en octubre de 2008, por el impacto de la recesión económica provocada por el colapso de Lehman Brothers.

(解説)
1 日経平均株価は、通常Nikkei 225またはÍndice Nikkeiと呼ばれる。225という数字は勿論225社の株価平均という意味であるが、下記の通りスペインでIBEX35というので、その並びで企業数を記した呼び名の方が分かり易いということであろう。

2 スペインの株価指数としては、マドリード証券取引所に上場する主要35社の平均株価であるIBEX35が知られている。IBEXとは、Índice Bursátil Español

3 株式に関するスペイン語については、2014年5月16日付けの「今日のスペイン語(58) 株式市場」もご参照願いたい。

2015年2月15日日曜日

今日のスペイン語(269)  文法的ジョーク

久々のスペイン語ジョーク。今日のやつは文法の勉強にもなる。

(スペイン語)
Dice una mujer a su marido:
“Hay que ver, que llevamos 30 años casados y no me has comprado nada.”
Y el marido respnde:
“Es que no sabía que vendías algo.”

 
(日本語訳)
 妻が夫に、
「あなたねえ、結婚して30年になるのに、何も買ってくれないのね。」
 夫が答えて言うには、
「おまえ、何か売ってたの?知らなかったよ。」


(解説)
 
 日本語に直すと、ジョークとして理解するのが難しくなってしまうのが辛いところ。文法的に解説すると、meという間接補語の意味するところが、妻と夫では理解が異なったという話。いや、夫の方が、文法を盾にして敢えて異なる理解をしたということか。

 comprarの直接補語(nadaalgo)は、売買の対象となる「何」かを意味している。妻にとっては、例えばダイヤモンドとか毛皮のコートだろうか。一方、第一文の間接補語はme(妻)。この間接補語が、我々日本人にとって時に厄介である。敢えて訳せば「~のために」の対象者であり、言わばcomprarという行為の反射的利益を得る者である。妻(me)が、comprar(買う)という行為の反射的利益を受ける者であるというところまでは、夫婦の間に理解の相違はない。しかし、その利益とは、「夫が何かを自分にプレゼントするために買ってくれる」ことによって得られるというのが、妻の言い分。「妻が何かを売る商売をしていて、それを夫が買うことによって妻に利益が生じる」というのが夫の言い分。文法的にはいずれの解釈も正しい。

 尤も、文脈上も常識的にも、夫が苦しい言い逃れを試みているのは明らかで、こんな言い訳が通らないのは、スペイン語圏でも日本でも同様である。こういう言い逃れをすると、火に油を注ぐことになる、というのが今日の教訓(moraleja)でした。

2015年2月12日木曜日

今日のスペイン語(268)  建国記念の日

 2月11日は建国記念の日。今年は天気にも恵まれ、快晴の中、日の丸の赤と白、そして空の青さのコンビネーションが非常に美しかった。諸外国では独立記念日や革命記念日は多いが、他国からの独立や分離でない「国の創設」を祝うほど歴史のある国はそう多くないので、簡単な解説を作ってスペイン語に直してみた。


(日本語)
 2月11日は日本の「建国記念の日」である。初代の天皇である神武天皇が即位したのが西暦の紀元前660年の2月11日だったと言われていることから、1872年に祝日に定められた。

 第二次大戦後、占領当局である米国の指示により祝日から外されたが、圧倒的な国民の希望を背景として、1966年に復活した。

 毎年2月11日は国民の祝日であり、官公庁や多くの会社は休日となり、多くの家庭では日本の国旗を玄関に掲げる。

 なお、日本の一部のカレンダーには、この建国の年を初年とする年号が記されているものもある。それによると、今年は2675年(660+2015=2675)にあたる。


(スペイン語訳)
 El 11 de febrero en Japón es el "Día de la Fundación de la Nación". En 1872 se estableció esta fecha como día festivo porque se dice que la coronación del primer emperador Jinmu tuvo lugar el 11 de febrero del año 660 A.C.

 Después de la Segunda Guerra Mundial, Estados Unidos, autoridad de ocupación, prohibió la celebración de esta festividad, pero se reestableció en 1966 por deseo de la abrumadora mayoría del pueblo japonés.

Siendo día de fiesta nacional, tanto el gobierno central y los  locales como muchas compañías cierran, mientras en las puertas de las casas privadas ondea la bandera nacional.

A propósito, hay en Japón un calendario que empieza el mismo día de su fundación (año 660 A.C.), según el cual 2015 es el año japonés 2675 (660 + 2015 = 2675).

 
(解説)
 恥ずかしながら、最近まで日本語の正式名称が「建国記念日」でなく「建国記念の日」であることに、気がつかなかった。戦後GHQにより紀元節が廃止された後、これを復活せんとの動きがでてきた際、当初は「建国記念日」という名称が提案されたが、神武天皇の即位日等が歴史的に証明されていない等の議論があり、紆余曲折を経て結局、「建国記念日」とされた由である。重箱の隅をつつくような議論をすると、要するに、この日に建国されたということでは必ずしもなく、(いつのことだか特定はしないものの)日本という国が建国されたことを祝うという趣旨なのだそうだ。この記念日の復活に携わった方々は大変な苦労や説得をして、やっとこの名称で復活させたのであろうと推察するが、後の世代に生きる私としては、建国記念日で何が問題なのか、正直言ってピンとこない。敢えて、だらだらと長い説明をするようなすスペイン語訳にするのは、今や意味があるとは思われず、普通に訳した。

 

2015年2月11日水曜日

今日のスペイン語(267)  海外の治安情報

 シリアの邦人人質・殺害事件が起きて、外国の治安情勢に関する関心が高まっている。日本だけでなく各国の外務省も世界各地に関する治安情報を出している。以下、スペイン外務省のHPで関連部分をほんの一部抜き出してみた。 

(スペイン語)
<治安情報一般>
 El Estado no resultará responsable en modo alguno ni por ningún concepto de los daños o perjuicios que, tanto por la observancia como por desconocimiento o no atención de la recomendación, pudieran ocasionarse a personas o bienes, no considerando dicha recomendación título que ampare reclamación alguna en tal sentido.

Asimismo, se recuerda que en estos momentos ninguna región del mundo y ningún país están a salvo de posibles actos terroristas.

<シリア>
Notas importantes
 SE DESACONSEJA EL VIAJE BAJO CUALQUIER CIRCUNSTANCIA Y SE RECOMIENDA A LOS ESPAÑOLES QUE SE ENCUENTREN EN EL PAÍS QUE LO ABANDONEN LO ANTES POSIBLE.
http://www.exteriores.gob.es/Portal/es/ServiciosAlCiudadano/SiViajasAlExtranjero/Paginas/RecomendacionesDeViaje.aspx#

 
(日本語訳)
治安情報一般
 (スペイン外務省の)勧告は損害賠償の請求権を与えるものではなく、国は、勧告を遵守しまたは順守しないために、或いは勧告を知らないために生じ得る対人・対財産損害に対して、いかなる形式でもいかなる意味でも、責任を負いません。

また、現在、世界のいかなる地域・国でも、テロ行為の危険がないところは存在しないことを想起します。

<シリア>
重要な注意事項
 いかなる状況下でも、(シリアへの)渡航は止めてください。シリアに滞在中のスペイン人は、できるだけ速やかに退避することを勧告します。

 
(解説)
1 多くの国では、海外の情勢に関して最新の情報を持つ外務省が、世界各国の治安情報(安全情報とか渡航情報とも呼ばれる)を常に公開し、アップデートしている。今回事件の起こったシリアについては、どの国も同じような危険度の評価をしており、「退避勧告」をしている。

2 上記の通りスペインでは、勧告に反して(または勧告を知らずに)シリアに行って被害を被った場合、「スペイン政府が守ってくれなかった」などと言って国に損害賠償を請求しても取り合わない。逆に勧告を守ってシリアに行かず、「スペイン政府のせいで商売のチャンスを逃して損をした」と言われても、損害賠償はしない、という政策である。自己責任の原則を徹底している。

3 ご承知の通り、日本の外務省も「海外安全ホームページ」で各国情報を発信している。外国旅行に当たっては、必ず事前に目を通し、勧告に従って行動する(退避勧告が出ていたら渡航を止める)のは、自分にも周囲の人達にも迷惑をかけないための、大人の常識である。