2015年2月7日土曜日

今日のスペイン語(264)  ラテン語の格言 その1

 「なんでラテン語なの?」と訝る方に。 このブログは、スペイン語を喋る人達を相手に仕事をしたりスペイン語圏で生活をする人を念頭に置いている。スペインでも中南米でも教養のある人達は学校でラテン語を学び、ラテン語の成句がちりばめられた文章を読んだり書いたりしているので、彼らと話していると、時々ラテン語が出て来る。ラテン語の成句には、結構使い勝手の良いものも多いので、覚えておくと役に立つ。今日はまず、

Si vis pacem, para bellum.
(Si quieres la paz, prepárate para la guerra)
平和を欲するならば、戦いに備えよ。
(注:スペイン人は、スペイン語の発音でこれを読む。

 
(解説)
1 この格言は、4世紀ローマの軍学者ウェゲティウス(Vegetius)の言葉とされる。

2 一見前段と後段が矛盾するようだが、よく考えれば当たり前のこと。“para bellum”といっても、こちらは平和を欲するのだから、戦いを仕掛ける準備でなく、相手国から戦いを仕掛けられてもこれを撃退する能力を持つ、と解するのが適切だろう。家に猛犬を飼うのは、隣人に噛みつくためでなく、泥棒を侵入させないためである。

ローマの時代から現在まで、世界には怖い連中が多い。自国がどんなに平和を欲していても、備えが手薄だと戦いを仕掛けられるのは歴史が証明している。カルタゴ、ビザンチン帝国、中世の西欧、第二次大戦中のベルギー、チベット、北方領土、竹島......、いずれも十分な備えが出来なかった(出来る状況でなかった)。何が起こったかは皆さんご存知の通り。

 この格言を21世紀的に解釈すると、戦いへの「備え」とは、自前の防衛力のみならず、他諸国との同盟、国民の団結、国家の安定や経済力、国際社会での存在感等になるのだろう。

 

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