2015年4月5日日曜日

今日のスペイン語(298)  ラテン語表現 ad nauseum

ad nauseum

1 意味: (同じことの繰り返しで)うんざりするほど、吐き気を催すほど

2 例文: El Reino Unido sólo ratificará el (nuevo) Tratado (con España) cuando esté seguro de que los gibraltareños lo aprobarán en referéndum. ¿Y si no lo aprobaban, como venían amenazando ad nauseum?

3 大意:英国は、ジブラルタル住民がレフェレンダムで承認すると確信する場合のみ、(スペインとの新たな)条約を批准するであろう。さて、これまで嫌になるほど脅されてきたように、もし承認されなかったらどうなるのだろうか?

4 解説:
(1)      この例文は、ジブラルタル問題に関して英国政府とスペイン政府が合意に至り、それを両国間の条約によって確定させることになったとしても、英国はあくまでジブラルタル住民の住民投票によって彼らがその条約に同意するのでなければ批准はしない、という英国の立場を述べた箇所。

 なお、1997年英国が香港を中華人民共和国に返還した際、租借期限の到来する新界はともかく、永久に割譲されていた筈の香港島と九竜も一緒に返還した際、住民投票(referéndum)はなかったし、住民の希望(deseos)を聴取しなかった。しかも、ジブラルタルの場合、返す相手は、共産主義国家ではなく、EUとNATOの仲間であり民主主義国であるスペインなのだから、香港返還の前例に鑑みても、住民投票など不要ではないか、という意見もある。英国のダブルスタンダードとして、しばしば指摘される。こういう指摘も英国にとっては“ad nauseum”なのだろうか。

(2)      スペイン語の“náusea”(吐き気)を知っていれば覚えやすいラテン語表現。古代のローマ人も、現代のスペイン人も、そして我々日本人も、同じことを何回も何回も繰り返されれば、吐き気を催すほどうんざりするという、同じ生理的メカニズムの下に生きていることがよくわかる。

ある隣国が、1965年の条約で決着済みの話を未だに執拗に蒸し返そうとするのは、ad nauseumという表現がぴったり。

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