2015年4月23日木曜日

今日のスペイン語(310)  日本の諺とスペイン語

 オルテガ・イ・ガセットの「大衆の反逆」を読んでいたら、「馬鹿は死ぬまで治らない」という諺を訳したような表現があった。面白いので、メモ代わりに記しておこう。なお、この諺にぴったりと符合するようなスペイン語の諺は寡聞にして承知しない。

(スペイン語)
 El tonto es vitalicio y sin poros. Por eso decía Anatole France que un necio es mucho más funesto que un malvado. Porque el malvado descansa algunas veces; el necio, jamás.Ortega y GassetLa Rebellión de las Masas VIII

(日本語訳)
 愚者は一生愚者であり、愚かであることを免れる抜け道もない。だから、アナトール・フランスは、「愚か者は悪党よりもはるかに厄介である。悪党は時々休憩するが、愚か者は決して休まないから。」と言ったのである

(解説)
1 この本のタイトル(「大衆の反逆」)から察せられるように、オルテガは、大衆が勉強もせず有識者の意見も聞かず、いわば独裁者のように権力を持ち、暴威を振るっている現状を嘆いている。この例文は、その文脈で、(自らの無知を知り、学習せんとする賢者と違って)愚者は「救いようがない」と言う箇所。

2 “poros)”は小さな穴や気孔。もし愚者の体に穴が開いていれば、そこから体内の「愚かさ」が抜け出ていくのだろうが、愚者にはその穴さえないので、「愚かさ」は一生体内に残るからずっと愚者なのだ、という発想。

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