2015年4月27日月曜日

今日のスペイン語(312)  専門家の横柄

 先日、高浜原発の再稼働に関して地裁が稼働中止の仮処分決定をしたが、判事が規制委員会や、決定で引用した科学者の見解を本人から直接に聞かず、そもそも同見解を理解していなかったことが判明した。スペインの哲学者オルテガ・イ・ガセットが1930年に書いた一節を思い出した。

(スペイン語)
 Habremos de decir que (el especialista) es un sabio-ignorante, cosa sobremanera grave, pues significa que es un señor el cual se comportará en todas las cuestiones que ignora no como un ignorante, sino con toda la petulancia de quien en su cuestión especial es un sabio.

Y, en efecto, este es el comportamiento del especialista. En política, en arte, en los usos sociales, en las otras ciencias tomará posiciones de primitivo, de ignorantísmo pero las tomará con energía y suficiencia, sin admitir .- y esto es lo paradójico - especialistas de esas cosas. La Rebelión de las Masas,XII La Barbarie del “Especialismo”

(日本語訳)
 (専門家を)智者兼無知者と言わなければならないが、これは非常に重大である。専門家は、自分の専門分野でないことに無知であるが、彼は、自分が知らないあらゆる問題において、無知者としてではなく、智者の横柄さを以て振る舞うからである。

実際、これこそが専門家の振る舞いなのである。政治、芸術、社会の習慣など、自分の分野でない科学について、原始人のような無知者の態度をとるだろうが、それら分野の(本物の)専門家の意見を受け入れずに、この態度を精力的にかつ十分に貫くのである。(「大衆の反逆」第12章 「専門主義」の野蛮性)

(解説)
 オルテガの言う「専門家」をそのまま「法律の専門家」即ち「判事」と読み替えると、1930年に彼がこの地裁決定を予想していたかのような気がしたのである。

社会生活を営む以上、誰しも、自分の専門外の事項について決断を下さなければならないことがある。そういった時に、自分で責任をとれば済む話ならばともかく、会社や社会に大きな影響を与える重要な問題については、いろいろな専門家の意見を、自分で理解できるまで徹底的に聞くべきなのは、オルテガに指摘されるまでもなく、当然のことだと思うのだが。

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