2015年7月31日金曜日

今日のスペイン語(352) ジョーク:人生最後の食事

 死刑執行の前には、(経験がないので真偽のほどは不明だが)望む通りの食べ物や飲み物を提供されるそうだ。注文する際に、ちょっと知恵を働かせれば、良いことがあるかもしれない。

(スペイン語)
A un condenado a muerte le van a servir su última comida.
--Puedes pedir todo lo que quieras  -le dice el vigilante.
--¿También una botella de Vega Sicilia?
--Desde luego. ¿De qué año?
--Del 2050.

(日本語)
或る死刑囚に、最後の食事を供する時がきた。
看守が「何でも注文していいよ。」と聞いたところ:
「ベガ・シシリアでも良いですか?」
「もちろんだとも。何年ものが欲しい?
2050年ものをお願いします。」

(解説)
1 現在は2015年なので、2050年もののワインを飲むためには、少なくとも35年は生きていなければならない。死刑執行は延期されるのだろうか。

2 Vega Siciliaは、スペイン北西部のRibera del Duero地域にある有名な銘柄ワイン。非常に高価な上に、なかなか手に入らないことで有名である。

3 “¿De qué año?”という時の“año(年)”は、ワインの原料となるブドウが収穫された年cosecha)のこと。ワインが瓶詰めされるのは、ボージョレ・ヌヴォーのように急速醸造させない限り、翌年以降となる。

2015年7月30日木曜日

今日のスペイン語(351) ジョーク:象さんと子ネズミ

 今日のジョークは、動物の話なので、いつてもどこでも政治的にコレクト。尤も、子供向けのジョークである。

(スペイン語)
Un ratoncito sube al ascensor que maneja un elefante.
--¿Qué piso?, pregunta el elefante.
--Mi rabo. Contesta el ratoncito.


(日本語)

子ネズミが、象さんの運転するエレベーターに乗りました。

象さんが「何階にいくの?」と聞いたら、

子ネズミの返事は、「僕の尻尾。」


(解説)
 スペイン語文法初心者用のジョーク。念のため説明すると、象さんが聞いたのは、¿A qué piso vas?であって、ここでpisoは「階」という名詞。でも、体の大きな象さんは、それと知らずに子ネズミの尻尾を踏んでしまっていたので、子ネズミにとって象さんの質問は「僕は何を踏んでるの?」。つまり子ネズミは、“piso”は「pisar(踏む)」という動詞の一人称に聞こえたということ。子ネズミの答えをきちんと書けば、“Me estás pisando el rabo.”になる。

 そういう訳で、このような言葉遊び的なジョークは、その言語においてのみ意味があるので、面白い日本語に訳すのは不可能と心得ておこう。

2015年7月29日水曜日

今日のスペイン語(350) ジョーク:女優の配役

 俳優や女優は、有名にならなければ、なかなか役が回って来ずに苦労しているらしい。今回は売れない女優の会話。

(スペイン語)
Dos actrices están coversando.
--He podido conseguir un papel en una obra teatral. Voy a hacer de rubia tonta.
-- Qué bien! Soló tienes que teñirte el pelo.

(日本語)
二人の女優が会話する中で、
--「私、演劇作品でをもらったのよ。おバカさんな金髪女の役なの。」
--「それはよかったわね。髪を染めるだけでいいのね。」

(解説)
 この二人はあまり仲がよくないのか、それとも、役を貰った女優が、髪を金髪に染めるだけで、あとは自然に振る舞っていれば済むような女優なのか、この文章だけではわからない。

 “papel”は、ここでは演劇や映画での配役。”jugar el papel del rey”といえば、王の役を演じること。

 “hacer de rubia”も同様に、金髪女性「の役を演じる」。演劇だけでなく、日常の場でも”hacer de tonto”というと、「馬鹿のふりをする」、「(馬鹿のように)ふざける」という意味で使われる。

2015年7月28日火曜日

今日のスペイン語(349) 略称

 最近気づいたのだが、日本語では,長い名称を略称にすることが多い。「ゆう活」(夏の生活スタイル変革)、「短観」(全国企業短期経済観測調査)など、そもそも元の名称が覚えきれないほどに長い名前だけでなく、衆院(衆議院)、安保(安全保障)、民放(民間放送局)、高校(高等学校)など、ちょっとした単語でも略称にしてしまう。スペイン語でも同様に、日常会話で略称を使うことがあるが、報道やニュースではあまり使われないような気がする。覚えておくと便利なので、いくつか例示してみよう。

(普通名詞)
 普通名詞の略称は、定冠詞とセットで使われることが多い。
el cole colegio
la tele televisión
el(la) profe profesor(a)
la peli película
el auto automóvil
la uni universidad
el boli bolígrafo
la bici bicicleta
el(la) facha fascista

(人名)
 さらに、人名でも、親しい間柄では略称で呼び合うことがある。
<女性名>
Gabi ← Gabriela
Mari María
Nana Victoriana
Su Susana
Pe Penélope
Pili Pilar
Tere ← Teresa
Trini ← Trinidad
<男性名>
Dani Daniel
Edu Eduardo
Fede Federico
Fran, Paco Francisco
Manolo Manuel
Nacho Ignacio
Nico Nicolás
Rafa Rafael
Toño ← Antonio

2015年7月27日月曜日

今日のスペイン語(348) 大人の言い方:賛成しかねる

 会議や折衝の場で、誰かの提案に賛成しかねる場合がある。そんな時、「絶対反対です」(“No, de ninguna manera.”)とか、「私は反対だ」(Estoy en contra.)などとステレートに言うべき場合もない訳ではないが、会議参加者や交渉相手と喧嘩別れをせずに、何とか合意形成を目指すのが普通である。そんな時、まず何と言うか。いくつかの例を見てみよう。

1 大筋はよいけれど、修正してほしい点がある場合
(日本語)貴方の意見に、基本的には、賛成です。
(スペイン語)Estoy de acuerdo en principio con lo que dijo usted.
(解説)反対意見を述べる場合でも、誰かの発言を100%否定しては角が立って感情的対立につながるだけで生産的ではない。賛同したくない意見でも、その中に何かしら同意できる点があれば、まずは同意できる点があることを述べ、その後に意見を異にする点を説明していくのが、特に公の席で反対意見を述べる際に有効である。

2 真っ向から対立する意見を持つ場合
(1)(日本語)残念ながら、ボノ氏のご意見とは、賛同しかねます。
(スペイン語)Me temo que no estoy de acuerdo con la afirmación del Sr. Bono.
(解説)全く間違っていて、話にならない発言や意見が出されることが、時々ある。とても妥協の余地がなくて、徹底的に論駁すべき意見に対しても、自分が反対であることを明確にしつつも、まずはこのように外交的な言い方をするのが望ましい。要は、出だしから相手の意見が「間違い」と決めつけるのではなく、自分は別の意見なので賛同しかねるということ。

(2)(日本語)私は別の見方をしています。
(スペイン語)Yo lo veo de otra manera. または Yo tengo otra visión.
(解説)(1)よりも、更にやわらかな言い方。ポイントは、相手を「間違っている」と攻撃するのではなく、相手の考えとは異なるけれど、自分の見解も説明させて頂きたい、と聞こえるような言い方にすること。

2015年7月26日日曜日

今日のスペイン語(347) ジョーク:美容院

 アルゼンチンで耳にしたジョーク。彼の国では、このくらい刺激的なジョークで驚いてはいけない。

(スペイン語)
En la calle Juan se encuentra con su tía y pregunta:
--¿De dónde vienes, tía?
--Del salón de belleza.
--¿Estaba cerrado?

(日本語)
 ホアンは通りで叔母に出くわして、
ホアン:「どこに行ってたの?」
叔母:「美容院よ。」
ホアン:「閉まってたの?」


(解説)
 叔母を目の前にして、私にはとても言う勇気のないジョークである。お察しの通り、叔母は実際に美容院に行って、ヘアをきちんと整えてきたのであるが、意地の悪い(または正直すぎる)ホアンは、叔母()の髪がひどいのを見て、まさか美容院がそんなひどいセットをする筈がないので、美容院が閉まっていた(だからヘアをセットしてない)と思って、つい口にしてしまったということ。

 紳士たるもの、女性のヘアがどんな状態でも、言ってよいことといけないことのあるのを、わきまえておこう。

2015年7月25日土曜日

今日のスペイン語(346) ジョーク:厄介な隣国

 今日もまた国際関係にかかわる機微なジョーク。

(日本語)
 神様が(A国)を創った時、素晴らしい気候と風景と食事と(勤勉な国民)を与えた。その際、
 神様の秘書官:「それでは(A国)はあまりに恵まれ過ぎじゃないですか?」 
 神様:「その代り、隣に(B)を置くんだ。」

 (スペイン語)
 Cuando Dios creó (A), le dio excelente clima, paisaje y comida y también personas muy trabajadoras.
 El camerlengo le dijo:
“Mi señor, ¿no es demasiado bueno?"
 Dios le contestó:
 "Para equilibrar he colocado (B) a su lado.

(解説)
1 このジョークも、想像力豊かに括弧内を入れ替えて、いろいろな隣国間の微妙な関係を、面白おかしく説明することができる。特に、或る国Bが隣国Aを絶えず悩ませているような場合には、実に分かり易い国際政治の状況説明になる。各人の経験次第で、例えばAがウルグアイで Bがブラジル(又はアルゼンチン)Aがアイルランドで Bが英国、Aがアジアのある国でBが中国またはロシア、…etc.、いくらでも思いつきそうだ。 我が国周辺では、Aが日本でBがその北西にある例の国々、というバージョンも大変説得力がある。

2 少し異なるが、「Cには素晴らしい機構と風景云々(但し、「勤勉な国民」は削除)」の国を創り、「代わりに、C国人を住まわせるのだ」というバージョンもある。これも、いろいろな国に当てはまりそうである。海外に住んで嫌な目にあったことのある人には、ご理解いただけるだろう。

3 国を創るのは、この文脈では神様の所作であり、ここでは“crear”とした。おなじ「つくる」でも、製品をつくる(製造する)のは“producer”、一般的な「つくる」は“hacer”、建物をつくる(建設する)のは“construir”、学校や協会をつくる(設立する)のは“fundar”等いろいろある。文脈によって何が適切な動詞か、よく考えよう。

4 ジョークにするための神様の対話相手として、ここでは秘書官がいることにした。冗談ついでに、ローマ教皇の秘書官または官房長的な役割を務めるポストである“camerlengo”という単語を使ってみた。
 
5 最後の「その代り」を”para equilibrar”としたのは、Aの得る利益と(隣にBいることによる)不幸を均衡させるため、という意味。
 

2015年7月23日木曜日

今日のスペイン語(345) ジョーク:要人暗殺計画?

 Jaimitoのジョークを機会に、いくつかジョークのネタを思い出した。今日のやつは少々刺激的。TPOを慎重に考えて使おう。

(日本語)
  (A)市の大広場で、ある男が「あの馬鹿野郎一人のせいで皆が苦しんでる。奴をぶち殺してやる。」と叫び、直ちに逮捕され秘密警察に連行された。「で、誰を殺すんだ?」と聞かれて、「(B)の野郎だ。我が民族をバカにして制裁を加え、皆が苦しんでる。」 取り調べ官は咳払いして「じゃあ問題なしだ。帰っていいぞ。」 男は出がけに「ところで、誰のことだと思ったのですか?」


(スペイン語)
  En la plaza mayor de (A) un hombre gritó
"sufrimos todos por culpa de ese imbécil, le voy a matar por malvado."
  Fue detenido en el acto y llevado a la policía secreta. Le interrogaron :"¿A quién piensas matar?"
  El hombre contestó; "Es el idiota de (B). Se burla de nuestro pueblo, nos impone sanciones, y todos nosotros estamos sufriendo."
  El oficial que le interrogaba se aclaró la voz y le dijo: "Entonces no hay problema. Vete.
  El pobre hombre le preguntó al oficial a la puerta de salida:
"A propósito, ¿De quién había pensado que se trataba?”

(解説)
1 この取調官は、「この男は、我が国の偉大なる首領様のことを批判したに違いない」と考えた訳だが、体制側の取調官でさえ、国のトップが批判されて当然と思っている、というのがミソである。

2 上記の例文で括弧に入れた都市名や人名は、着せ替え人形と同様、都市名は独裁国家の首都、人名はその国に批判的な国のリーダーであれば、何を入れてもジョークになる。思いを巡らせるだけで、国際情勢の勉強になる。上記の文章で私が念頭においていたのは、A:日本人を拉致したりミサイル・核を開発して一向に反省しない例の国の首都、B:米国大統領である。

ところで、平壌はPyongyang、北京はPekín、モスクワはMoscú、ダマスカスはDamascoと記すので、ご参考まで。

 どこで、誰に対して、どの国を題材としてこのジョークをとばすか、慎重に考えることをお薦めする。

 

 

2015年7月22日水曜日

今日のスペイン語(344)  ジョーク

 またジョークを思い出した。以前に(今日のスペイン語(328))紹介したように、スペインのジョークには、いたずら好きな少年Jaimitoを題材にした「Chistes de Jaimito」と呼ばれるカテゴリーがある。今日はその一つ。他愛ないジョークなので、いつでもどこでも安心して使える。

(スペイン語)
La profesora da las notas luego de la evaluación:
-- Luisito un diez, Pedrito un ocho, Jaimito un cero.
-- Oiga profesora, ¿Y por qué a mí un cero?
-- Porque has copiado el examen de Pedrito.
-- ¿Y usted cómo lo sabe?
-- Porque las cuatro primeras preguntas, están iguales, y en la última pregunta Pedrito respondió: "Esa, no me la sé" y tú has puesto: "Yo tampoco.”

(日本語)
先生が試験の採点後に、答案を渡しながら、
- ルイシト10点、ペドリト8点、ハイミト0点。
ねえ先生、なんで僕は0点なの?
-
ペドリトの答案をカンニングしたからよ。
- (カンニングしたって)どうしてわかるんですか?
- 最初の4問の答えが(ペドリトと)同じでしょ。最後の問にペドリトは「わかりません」と書いて、あなたは「僕も(わかりません)」と書いたでしょ。


(解説)
1 小学校のテスト等で、先生が試験結果を通知することを“dar las notas”という。厳密に言えば、必ずしも答案用紙を渡すとは限らないが。

2 「カンニングする」copiar el examen”。ここでexamenは答案用紙のこと。なお、人の答案を見るのでなく自分で準備したカンニング用紙は“chuletilla”と呼ぶ。

3 ご存じの通り、スペインでは小さな子供の名は縮小辞をつけて呼ぶことが多い。あえて日本語に訳せば「○○ちゃん」だろうか。

 例文の通り、JaimeJaimitoLuisLuisitoPedro Pedrito。その他、MiguelManuel(Manolo)MiguelínManolín  RaúlRaulilloといった縮小辞もある。

2015年7月21日火曜日

今日のスペイン語(343)  レペのジョーク 2

 レペ村の人に敬意を払って、もうレペ・ジョークはやめようと思ったが、どうしても耐え切れず(No he podido resistir.)、もう一個だけ紹介したい。

(スペイン語)
 José y Antonio se dedican a la mudanza en Lepe. Un día iba José con un armario muy grande a hombros y uno del pueblo le dice:
-- Pero, ¿no te ayuda Antonio?
-- Sí, está dentro sujetando las perchas.

(日本語)
 ホセとアントニオはレペで引越屋をしている。ある日、ホセが大きなタンスを一人で肩にかついでいたところ、村の者が言うには:
―アントニオは手伝ってくれないのか?
―ああ(手伝ってくれているよ)、タンスの中でハンガーを支えているんだ。

 
(解説)
 レペの方々、済みません。もうレペジョークは、可能な限り(dentro de lo posible)書かないように心がけます。

2015年7月20日月曜日

今日のスペイン語(342) 大人の言い方:報告を求める

 日常業務の中で、上司が部下に作業の進捗状況を聞いたり、督促したりという場面が多い。これも言い方が沢山あるので、何通りか覚えておこう。

1 やや正式な報告依頼
(日本語)プロジェクトXの報告を頼むよ。
(スペイン語)¿Por qué no presentas el informe del proyecto X ahora?
(解説)「報告をしたらどう?」のような質問ではなく、報告を求めていると聞こえる表現である。会議の席などで使われる、やや正式な響きのある報告依頼。

 
2 業務の進捗状況を問う
(日本語)企画書はもうできたかな?
(スペイン語)¿Has terminado de elaborar el documento de planificación?
(解説)仕事の進捗状況を尋ねてる表現だが、「終わったか否か」という二者択一を迫る内容なので、強い調子で言うと威圧的に聞こえる。

 
3 軽い口調の進捗状況照会
(日本語)報告書はどうなってる?
(スペイン語)¿Cómo va el informe?

2015年7月18日土曜日

今日のスペイン語(341)  大人の言い方:依頼を断る

 前回まで、仕事上の依頼や相談をする際の表現を見てきた。これに積極的に応じるならば話は簡単だが、断り方には少々気を遣う必要がある。今日は、断り方表現をいくつか学ぼう。

1 普通に断る
日本語)すみませんが、お手伝いはできません。
(スペイン語)Lo siento, pero no puedo ayudarle.
(解説)ポイントは、ストレートに“No”と言うのではなく、「自分はやってあげたいのだが、自分を取り巻く状況などのために、手伝ってあげられない」という気持ちを出すことである。そこで、“lo siento”と“no puedo”(no quieroではない)が生きてくる。

 
2 より丁寧に断る
(日本語)お手伝いできればいいんだけど。
(スペイン語)Ojalá pudiera ayudarte.
(解説)上記と発想は同じ。“no”という単語を入れないことで、より柔らかくなる。

 
3 返答を先延ばしする
(日本語)あとで返事するよ。
(スペイン語)Ya te responderé.

(日本語)少し考えてから(明日に)返事するよ。
(スペイン語)Déjame pensar y te doy la respuesta (mañana).

(解説)いつ返事するのかをはっきり言う方が丁寧である。また、後ほど返事すると言ったからには、必ず回答をしなければいけない。「即答を避けたのは、ノーということだろう」と当方の意を察して諦めてくれる、などと期待して放っておいてはいけない。