2014年9月2日火曜日

今日のスペイン語(168)  表現の自由

 最近或る国で、船舶事故発生時の大統領の所在について、現地紙を引用して記事にした日本人記者が、検察当局に取り調べられたという事件があった。この事件が「自由な言論の弾圧である」として全世界で報道された際、表現の自由に関する世界の名句を引用する例が見られた。この機会に、永く記憶に残る名言をいくつか、スペイン語でもスラスラと出てくるよう覚えておこう。

 
1 “No estoy de acuerdo con lo que dices, pero defenderé hasta la muerte tu derecho a expresarlo.” 

「君の言うことには反対だが、君がそれを言う権利は命を懸けても守る。」

(注)18世紀に活躍したフランスの哲学者ヴォルテール(Voltaire)の有名な言葉。なお、フランス語のオリジナルは次のとおり。

"Je ne suis pas d’accord avec ce que vous dites, mais je me battrai jusqu’à la mort pour que vous ayez le droit de le dire."

 
 “Si la libertad significa algo, es el derecho a decir lo que la gente no quiere oír.”

「自由に何らかの意味があるならば、それは、人が聞きたくないことを言う権利のことだ。」

(注)20世紀の英国人作家ジョージ・オーウェル(George Orwell)の言葉。国家による監視・管理社会の暗さを描いた「1984年」の作者らしい名句。英語オリジナルは次のとおり。

“If liberty means anything at all, it means the right to tell people what they do not want to hear.”

 
3 引用句ではないが、コンドリーザ・ライス元米国務長官が、かつて議会証言の中で、タウン・スクェア・テスト(Town Square Test)というコンセプトを引用していたが、これがなかなか感動的だったのでメモしておいたのを思い出した。旧ソ連反体制派のNatan Sharanskyが作った言葉。彼の表現をそのまま使わせてもらうと、

If a person cannot walk into the middle of the town square and express his or her views without fear of arrest, imprisonment, or physical harm, then that person is living in a fear society, not a free society. The Case for Democracy (2004)

 実によくできた民主主義・表現の自由のリトマス試験紙と思うが、冒頭の事件が示すように、一歩でも日本の外に出たら、このテストは控えるのが無難である。(もっとも、上記の1や2をスペイン語で叫ぶ程度なら大丈夫かもしれない。例の国では通じないので。)

Town Square Testのスペイン語訳は見たことがないが、Prueba de la Plaza Pública”とでも訳すのだろうか。その上で丁寧に内容を説明する必要はあるだろう。なお、表現の自由は”libertad de expresión”。

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