2014年9月22日月曜日

今日のスペイン語(185)  分離独立

 9月18日のスコットランド住民投票で独立反対派が多数を占めたのは記憶に新しい。今注目を集めているのは、スペインのカタルーニャ地方政府が独立を目指して住民投票の準備を進めていること。このような分離独立について、スペインのマルガリョ外務協力大臣がEl Mundo紙のインタビューに応じているところ、かなり刺激的で面白いので、少し長くなるが以下の記事(抄)を紹介する。


(スペイン語)
¿Se puede hacer algún paralelismo entre el referéndum en Escocia y la consulta que quieren hacer en Cataluña?

--En absoluto. Son radicalmente distintos. En el caso escocés, el Parlamento de Westminster decidió autorizar el referéndum de autodeterminación en Escocia y, por tanto, el procedimiento es impecable desde el punto de vista legal. En España, como en el resto de las constituciones del mundo, no se reconoce el derecho a la secesión y ni el Parlamento español ni el Gobierno pueden autorizar ese referéndum. El reconocimiento de ese derecho a la secesión exigiría modificar la Constitución, y eso es algo que tenemos que hacer todos los españoles. Lo que decidimos juntos, sólo juntos puede ser revocado.
 
¿Mas miente cuando sigue insistiendo en que una Cataluña independiente se integraría en la UE sin ningún problema?

--O bien hace economía con la verdad o bien cree que puede modificar con su simple voluntad una realidad que ha sido refrendada por todo el mundo, desde el presidente de la Comisión Europea hasta el último funcionario de Bruselas. Se trata de un voluntarismo que me recuerda la anécdota que cuenta Vargas Llosa cuando hablaba de aquellos indios amazónicos que, reunidos en asamblea, decidieron, por mayoría, declarar derogada la ley de la gravedad.
http://www.elmundo.es/espana/2014/09/22/541f1824e2704ede4d8b4582.html

(日本語要旨)

<スコットランドの住民投票と、カタルーニャで実施が希望されているそれとの相関についてどう考えるか。>  全然関係ない。根本的に違う。スコットランドの場合には、ウェストミンスター議会がスコットランドの自決に関する住民投票を許可したのだから、その手続きは、法的には非の打ちどころがない。スペイン憲法では、世界の他諸国の憲法と同様に、分離独立する権利は認められておらず、スペイン議会も政府も住民投票を許可することはできない。分離独立の権利が認められるためには、憲法改正が必要となるが、それは私たちすべてのスペイン人が行うべきことである。私たちが共に決めたことは、(決めた時と同様に)共にやるのでなければ取り消すことはできない。
<マス(カタルーニャ州政府首相)は、独立したカタルーニャは何の問題もなくEUに統合されるだろうと主張しているが、彼は嘘をついているのか?>   --真実を省略しているのか、或いは、欧州委員会委員長を含むブラッセルの全職員が確認した現実を、自分の意思だけで変更できると思っているのだろう。このような主意主義は、アマゾンのインディオが集会を開き、多数決で、重力の法則を廃止する決定をしたという、バルガス・リョサの語った逸話を思い出させる。

 
(解説)

1 カタルーニャではかねてから独立を目指す声があったが、昨今これが現実の政治課題に上るようになってきた。この21日には、同州のマス「首相」(President de la Generalitat)が、スペインからの独立の是非を問う住民投票の実施(11月9日)を数日以内に正式発表すると表明した。同州の議会では既に19日、住民投票を行うための法案が可決されている。一方、スペイン中央政府は、このような投票は憲法違反であり、正式発表となれば憲法裁判所に訴えるとの立場である。

2 “secesiónは、国家の一部が分離独立すること。それを目指すのがsecesionista(分離主義者)。同義語に“separación がある。17世紀のカタルーニャ独立戦争は文字通り“Guerra de Separación de Cataluña”。

segregación”は、複数の人やグループを「隔離」しmarginar(疎外する)ニュアンスがあるので、本件の文脈ではぴったりこない。国家の分解については、“desmembración”もある。国家がバラバラに分裂してしまうことで、例えば1991年のソ連邦崩壊を言う際には、この言葉が使われる。

3 “voluntarismo(主意主義)は、元来、哲学用語で、意思の働きを理性よりも重視する主義のこと。このインタビューでマルガリョ大臣は、拡大解釈して「希望すれば何でも実現できると思い込むこと」の意味に使い、その上でマス首相をこきおろしている。痛烈なコメントである。


4 なお、“referéndum”と“consulta”という、似たような用語が出てくる。カタルーニャ州政府は、自分達がやろうとしているのは、スコットランドのような正式なものでなく、住民の意見を聴取するものであって(その結果独立が直ちに認められるといった)法的拘束力を持たないし、したがって憲法で禁止されるものではないと主張しており、そのため“referéndum”に替えて“consulta”という単語を使っている。但し、本項では、実質的な意味に着目して、双方同じ訳とした。

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