(スペイン語版)
La finalidad del presente Convenio será la siguiente: a) garantizar la restitución inmediata de los menores trasladados o retenidos de manera ilícita en cualquier Estado contratante;
b) velar por que los derechos de custodia y de visita vigentes en uno de los Estados contratantes se respeten en los demás Estados contratantes.
(日本語版)
第一条この条約は、次のことを目的とする。
a いずれかの締約国に不法に連れ去られ、又はいずれかの締約国において不法に留置されている子の迅速な返還を確保すること。
b 一の締約国の法令に基づく監護の権利及び接触の権利が他の締約国において効果的に尊重されることを確保すること。
(解説)”presente”とは、「この」条約とか「当」条約、「本」条約といったように、読者の目の前に文字通りpresenteのものという意味で、文語的文章ではよく使われる。手紙の中で”la presente
(carta)”と出てきたら、「この書簡」という意味。
“Estado contratante”と、耳慣れない表現が使われているが、この言い方は条約の文章でよく出てくる。条約は国内法と違って、自らその条約に署名し批准して締約国になった国にしか適用されないのが国際法の原則である。だから第1条では、この条約が世界のどこでも適用されるのではなく、この条約の締約国においてだけであることを明確にするために、こういう表現が使用されている次第。
第1条には、このEstado contratante(s)が3回も出てくる。普通のスペイン語では、同じ単語や表現を繰り返して使わないのはご存じのとおり。最初にEl Ministerio、次に現れる時は la Autoridad、そしてla Entidad等、同じ組織がその都度別の名前で出てくるため、一見ややこしいのが、優れたスペイン語とされるが、条約では、何よりも正確さを重視するため、同じ概念は常に同じ単語を使うのが決まりになっている。
同様に、日本語版も正確であることが至上命令なので、読みやすさを犠牲にしても、一字一句、正文である外国語を訳したものになっている。このブログで普段現れる日本語もスペイン語も、こなれたものにするため、いわば敢えて意訳しているけれど、この項のみ悪文に見えたら、以上の理由があるので仕方ないことを、ご理解願いたい。
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