2014年8月20日水曜日

今日のスペイン語(156)  停戦

 ガザ情勢をめぐって、イスラエルとハマスの限定的停戦が合意されたり破られたり、更新されたりと、情勢が刻々と変化していてフォローが大変である。典型的な文章を元に、停戦やその他類義語について比較してみよう。
 
(スペイン語)
 La tregua de 72 horas vigente desde medianoche entre Israel y el grupo islamista Hamas en Gaza se mantenía este 11 de agosto por la mañana mientras se realizan negociaciones indirectas en El Cairo.

 
(日本語訳)
 イスラエルとイスラム主義グループ・ハマス間の72時間の停戦は、真夜中に発効し、8月11日の朝の段階で維持されている。その一方で、カイロにおいて(イスラエルとハマスの)間接交渉が行われている。

 
(解説)
 「戦闘が止む」ことを表すスペイン語の単語として思い浮かぶのは、次の3つ。それぞれ私なりの訳語と、王立アカデミー(Real Academia Española)の辞書の説明文を付した。

1 Alto el fuego(戦闘停止、打ち方止め)
 Suspensión momentánea o definitiva de las acciones militares en una contienda.

2 Tregua(停戦)
 Suspensión de armas, cesación de hostilidades, por determinado tiempo, entre los enemigos que tienen rota o pendiente la guerra.

3 Armisticio(休戦)
 Suspensión de hostilidades pactada entre pueblos o ejércitos beligerantes.

 
 いずれも似通った定義である。しかも、スペイン語では、長い文の中で同じ単語を繰り返す代わりに、用語の正確さを犠牲にして類義語を使うことがあるので、益々厄介である。

敢えて区別すると、上記1から3の順で、戦闘をしない「時間」がより長く、また戦闘をしないという関係者の意思がより「確か」になっていくように感じる。

例えば1のAlto el Fuegoは一方的な「打ち方止め」である等、有効期間が短く、かつ不安定との印象がある。但し、Treguaと同義で用いられる例もある。

2のTreguaは、多くの場合は当事者双方の合意に基づくので多少の「確か」さはあるものの、一方で、長続きするか否か不安が残る。スペイン語世界で、今回のガザを巡って使われている単語は基本的にtreguaである。

 3のArmisticioは、当事者双方が協定の形で長きにわたって戦闘しないことを約束する場合に使用されることが多いようだ。1953年、国連軍と北朝鮮、中国(中華人民共和国義勇軍)との間で結ばれた休戦協定は文字通り“Acuerdo de Armisticio”で、現在まで61年間、一応機能している。

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