2015年8月19日水曜日

今日のスペイン語(373) 引用句:韓非子

 先日、日本語訳の韓非子を読み直して、「三人成虎」(さんにんせいこ)の話が韓非子によるものだったと気が付いた。ご存じの通り、嘘であっても沢山の人が言えば人はその嘘を真実だと思ってしまう、という意味の四文字熟語である。外国人との会話で結構使えそうなので、日本語で要約版を作ってスペイン語に訳してみた。

(日本語要約)
 古代中国の魏で、大臣が王に、「誰かが市場で虎を見たと言ったら、信じますか?」と問うた。
王:「信じない。」
大臣:「では二人が言ったら?」
王:「いや、信じないな。」
大臣:「もし三人が言ったら?」
王:「三人が同じことを言うなら、信じるだろうな。」

(スペイン語訳)
  En la antigua dinastía china de Wei, un ministro pregunta al rey;  --si alguien dice que se encuentra un tigre en el mercado, ¿lo cree su Majestad?
  El rey contesta que no.
  El ministro le pregunta de nuevo; -- si dos personas dicen lo mismo, ¿lo creerá?
  El rey contesta;  -- no, no lo creo.
  El ministro le pregunta por tercera vez;  -- ¿si fueran tres?
  El rey responde; -- si fueran tres personas diciendo lo mismo, me lo creería.

(解説)
1 魏の太子が趙の邯鄲に人質に出される際、太子に同行する大臣の龐恭(ほうきょう)が王と上記のやり取りをした上で、「市場に虎がいるなどという嘘でも、三人が言えば信じてしまうものです、まして遠方に旅立つ自分について、留守中悪口を言う連中はもっと多いので、ご注意ください」とクギをさし、王もそれを了解した。しかし、その後龐恭が帰国した時、大勢の悪口を信じこんだ王に、龐恭は二度と拝謁を許されなかった、という話。

2 韓非子は“Han Feizi”。「三人成虎」は、敢えて訳せば、“Si tres dicen que han visto un tigre, hay tigre!”あたりか。

3 現代でも、サラリーマンが陽の当たらない海外勤務や出向を命じられたら、将来が暗くなり易いのは、この故事の通りである。 

4 より広く、「ウソも広がれば本当になる」という教訓としては、近隣の一部勢力が、過去の歴史を改竄して対日批判を繰り広げている背景には、長い伝統を持つ韓非子の教えがあるだろうか。

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