今日のスペイン語（１１４） ディ・ステファノ氏の追悼記事

　サッカー界から、一人の巨人が逝ってしまった。レアル・マドリードを世界のチームにし、晩年はこのクラブの名誉会長を務めていたアルフレド・ディ・ステファノ氏（Alfredo di Stéfano）が、７月７日、マドリードの病院で逝去した。享年８８歳。彼の生涯を記した数多い追悼記事（obituario）の中から一つ選んで訳をつけてみた。

（スペイン語）“Nacido en Buenos Aires en 1926, llegó a ser el mejor jugador del mundo de la década de los años 50, y uno de los considerados como los mejores jugadores（注１） de la historia del fútbol mundial, compartiendo este reconocimiento con Pelé, Cruyff y el también argentino Maradona. 

　Hizo su debut en 1944, pasando cinco años más tarde al equipo de los Millonarios de Bogotá, tras haber ganado un campeonato en Argentina y ser varias veces internacional. 
　Fichado por el Real Madrid en 1953, tras una larga polémica con el F.C. Barcelona. Ambos clubs pujaron fuerte por él. 
　Su contribución al Real Madrid ha sido inigualable hasta nuestros días, y compartió campo con jugadores de la talla de Puskas o Gento. Más grande fue su contribución en cuanto a su liderazgo, lo que junto con sus impresionantes regates y su habilidad como delantero del equipo, hicieron que se convirtiese en leyenda viva. 
　El Real Madrid de Di Stéfano, conquistó una Copa Intercontinental, cinco Copas de Europa, ocho Ligas y una Copa, jugando más de 500 partidos y marcando más de 400 tantos. Alzándose con el título de máximo goleador en cinco ocasiones en la liga española. 
　Se nacionalizó español, y vistió la camiseta de la selección nacional en 31 ocasiones, siendo el máximo goleador y manteniendo su record hasta el año 2005.
　Balón de oro de la revista France Football en dos ocasiones, fue apodado como La Saeta Rubia. 
　En Agosto del año 63, sufrió un secuestro en Caracas, disputando un torneo, siendo liberado unos días después cerca de la Embajada Española. 
　Un año después jugó su útlimo partido con el Real Madrid, perdiendo la Copa de Europa ante el Inter de Milán, abanadonando el club madrileño tras ese encuentro. 
　Durante dos años, fichó por el Real Club Deportivo Español, hasta su retirada en 1966.
　Tras su retirada como futbolista, fue entrenador de diversos equipos españoles y argentinos, pero no fue la faceta en la que más destacó, por su fuerte caracter. En el año 2000 fue nombrado presidente de honor del Madrid.“
（http://www.infoesquelas.com/obituarios/alfredo-di-stefano/4611）

 

（日本語訳）
　１９２６年ブエノスアイレスに生まれ、１９５０年代に世界最高の選手となり、ペレ、クライフ、そして同じアルゼンチンのマラドナと並んで世界サッカー史上最優秀選手の一人と認識されている。
　１９４４年にデビュー、アルゼンチンで1度（リーグ）優勝、国際大会で数回優勝して、５年後にボゴタの「ロス・ミリョナリオス」に移籍した。
　１９５３年には、F.C.バルセロナと長期間にわたる諍いがあった後、レアル・マドリードに移った。マドリード、バルセロナ双方とも彼の獲得を強く望んでいたのである。
　レアル・マドリードへの貢献は、今日に至るまで比類なきもので、プスカスやヘント等の選手とともに活躍した。リーダーシップ面での偉大な貢献に加え、素晴らしいドリブルやフォワードとしての能力により、彼は生きる伝説となった。
　ディ・ステファノのレアル・マドリードは、インターコンティネンタル・カップ１回、５回のヨーロッパ・カップ、８回の国内リーグ優勝、１回の国王杯を獲得した。彼自身は５００以上の試合に出場し、４００を超えるゴールを決め、５回にわたってスペイン国内リーグ最高得点者の栄光を得た。
　国籍を取得したスペインのユニフォームを着て３１回スペイン代表に選ばれ、２００５年まで最高得点者の地位を維持した。
　フランス・フットボールのバロン・デ・オロ（注：各年の最優秀選手）に２回選ばれ、サエタ・ルビア（金の矢）（注２）というニックネームがついた。　１９６３年８月には、試合のため訪れたカラカスで誘拐され、数日後にスペイン大使館近くで解放された。
　翌年、レアル・マドリード最後の試合に臨んだ。ヨーロッパ・カップでミラノのインテルに敗れて、レアルを去ることとなった。
　２年間エスパニョルでプレーした後１９６６年に引退した。
　選手としての引退後は、スペインとアルゼンチンのいくつかのチームで監督を務めたが、そのきつい性格のため、監督業では華々しい成果をあげることはなかった。２０００年にはレアル・マドリードの名誉会長となった。

 

（解説）

１　７月９日に行われたFIFAワールドカップの準決勝アルゼンチン対オランダ戦で、アルゼンチン・チームが腕に腕章をしていたのは、ディ・ステファノへの弔意の記であった。スペインでは、国王が弔意を表した。それほどまで、スペインとアルゼンチンの双方で偉大なサッカー選手だった。

２　（注１）この部分は、できれば次のように書いた方がスペイン語として素直だと思う。”uno de los jugadores mejor considerados en la historia...”

３　（注２）　“saeta”は「矢」。彼のプレーが矢のように速く、彼が金髪だったことから、サエタ・ルビアと呼ばれた。

 

４　余談だが、オランダのHarald国王の王妃（Máxima de Zorreguieta）はアルゼンチンのブエノスアイレス出身である。どんな気持ちで準決勝を見ていたのだろうか。また、現法王Franciscoはアルゼンチン出身、前法王のベネディクト１６世はドイツ出身。ワールドカップ決勝に臨んで、それぞれどんな思いだろうかと思うが、これは下種の勘繰りというのだろう。

以上、余談まで。