2014年7月14日月曜日

今日のスペイン語(119)  環境物品の貿易自由化交渉

 「経済成長が地球環境を汚染し破壊するようではいけない、だから環境に配慮した持続的開発が必要だ」、この主張には誰も異議を挟まないだろう。しかし、「これに役立つ太陽光パネルのような商品が、関税なしで安く輸出されて広く使われるようになれば、持続的開発が一層早く・確実に進むので、良いことだ」と言えば、途上国を中心に反対の声が出てくる。そこで、先ずは、環境物品の貿易自由化を進めるべしと考える有志だけが集まって自由化交渉を始めることとなった。以下は、これを歓迎するWTO事務局の簡単なステートメント。

(スペイン語)“8 de julio de 2014 COMERCIO Y MEDIO AMBIENTE
 El Director General Azevêdo acoge con satisfacción el inicio de las negociaciones plurilaterales sobre bienes ambientales
 

 El 8 de julio de 2014, en la OMC, catorce Miembros de la Organización iniciaron negociaciones plurilaterales para un Acuerdo sobre Bienes Ambientales. Estos Miembros dijeron que las conversaciones fomentarán el crecimiento ecológico y el desarrollo sostenible, al tiempo que dan impulso a la conclusión de la Ronda de Doha.
http://www.wto.org/spanish/news_s/news14_s/envir_08jul14_s.htm


(日本語訳)
 2014年7月8日  貿易と環境
 アゼヴェド事務局長、環境物品に関するプルリ交渉の開始を歓迎
 2014年7月8日、WTOにおいて、14加盟メンバーが環境物品協定のためのプルリ交渉を開始した。これらのメンバーは、この交渉が環境に優しい成長と持続的開発を促進し、同時に、ドーハ・ラウンドの妥結に弾みを与えることになるとしている。


(解説)
1 “acoge con satisfacción”は「歓迎する」。イラクで全紛争当事者が和平合意を結んだり、専制国家が民主主義国になった時に、外国の公式発表でよく使われる表現である。口語では「本当によかったですね」位だろうか。英語の“welcome”にあたる。

2 “plurilateral”:あえて訳せば「複数国(メンバー)間の」だが、その筋の人達は日本語でも「プルリ」と言っている。WTOや国連のような大規模機関のメンバー全員が参加する交渉は”negociaciones multilaterales”、そこで出来上がった協定は”acuerdo multilateral”という。二国の間なら”bilateral”、その間にあるのがplurilateral。政府が大規模な工事を発注したり大量の物品を購入する際に内外差別をしないよう定めた政府調達協定(現在43ケ国が加盟)や、12ケ国で交渉しているTPP等は”plurilateral”にあたる。

3 “bienes ambientales”は「環境物品」。今回交渉の対象となるのは、2012年のAPEC首脳会議で合意された54品目で、2015年末までに環境物品54品目を選んで、その実行関税率を5%以下に引き下げることとされている。具体的には、再生可能エネルギー関連製品、汚水処理関連機材、大気汚染制御装置など。もともと英語(environmental goods)のスペイン語訳。 なお、環境関連のサービス(例えば下水処理施設の運営等)も含めて、EGSEnvironmental Goods and Services)ということもある。


4 環境物品自由化交渉に参加している有志14メンバーとは、日本、米国、カナダ、豪州、ニュージーランド、EU,スイス、ノルウェー、シンガポール、韓国、中国、台湾、香港、コスタリカ。
 上記の文章で、“países”と言わずに、わざわざ“Miembros”としているのは、EU(国の連合であって国そのものではない)、台湾及び香港(WTO協定のメンバーではあるが、「国(país)」と呼べない)が入っているため。なお、APECは21のメンバーから構成されるが、台湾と香港が入っているので、こちらでは皆(日本も米国も台湾も)“economy, economies”と呼んでいる。

 
5 余談
 WTOの現事務局長はブラジル人のAzevêdo氏。WTOの公式言語は英語、フランス語、スペイン語だけなのだが、その公式ホームページに、何故か事務局長名だけポルトガル語で書いてある。(まさか、ブラジル人の典型的な名前”Azevêdo”のうち”ê”の文字だけはフランス語であって、アクサンシルコンフレクス付きの”e”だ、などという無理筋の理屈ではないだろう。)目くじらを立てる程ではないかもしれないが、私はへそ曲がりなので、WTOの公式見解として、職員の氏名表記は何語まで認めるつもりなのか、アルファベットだけは特別扱いするつもりなのか、等々いろいろと気になってしまう。日本語やタイ語(スパチャイ事務局長の頃はどうしていたのか?)でなくとも、例えばJåfs(ヨーフス)(ハンガリーの名)とかHäßler(ヘスラー)(ドイツの名)という姓の事務局長が来たら、ホームページの表記はどうするのだろうか。

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