2014年6月24日火曜日

今日のスペイン語(100)  スペインの王位継承ルール

 先日、フェリペ6世がスペイン国王として即位した機会に、1978年スペイン憲法の関係条文(第57条第1項)を読み直してみた。読みにくいけれど、書くべきことはちゃんと書いてある。

 
(スペイン語)La Corona de España es hereditaria en los sucesores de S. M. Don Juan Carlos I de Borbón, legítimo heredero de la dinastía histórica. La sucesión en el trono seguirá el orden regular de primogenitura y representación, siendo preferida siempre la línea anterior a las posteriores; en la misma línea, el grado más próximo al más remoto; en el mismo grado, el varón a la mujer, y en el mismo sexo, la persona de más edad a la de menos.

 
(日本語訳)
 スペインの王位は、歴史的な王朝の正統な継承者であるブルボン家フアン・カルロス1世陛下の相続人が、世襲する。王位の継承は、長子相続および代襲相続の通常の順序に従い、その際、より源流に近い系の者が常に他に優先し、また同系内では親等の近い者が他に優先し、同等の場合は男性が女性に優先し、また同性の場合には年長者が年少者に優先する。

 
(解説)
1 現在のスペイン憲法は、1975年の民主化後、1978年に制定されたもの。国王および王室については、主として第56条から第65条に定められている。

2 第57条第1項の最大の特徴は、ホアン・カルロス1世国王およびブルボン王朝の位置付けである。同国王は、18世紀からスペインに君臨してきたブルボン家の血筋であるが、祖父であるアルフォンソ13世を最後に、8年間の共和政、36年のフランコ体制となったため、スペイン王家としてのブルボン王朝は一度終わった。その後、フランコ体制中に、ホアン・カルロスが次期国王と宣言されたものの、ブルボン家がスペイン王家に復帰したとされた訳ではない。(もしブルボン家がスペイン王家であり続けたならば、ホアン・カルロス国王の父ホアンが王位にある筈である。)そういった複雑な事情を反映して、「歴史的な王朝」と言いつつ、同時にホアン・カルロス1世がスペイン・ブルボン王朝の始祖であるかのような、微妙な書き方となっている。

3 この条項の定めるところにより、ホアン・カルロス1世国王が退位した後は、長男であるフェリペ皇太子(プリンシペ・デ・アストゥリアス)が新国王に即位した。また、王位継承者は新国王の長女であるレオノール皇太子(王女)である。

4 今日の憲法規定のような文章は、スペイン語圏で遺産相続の揉め事に巻き込まれたりしなければ、殆どお目にかからないし、日常会話で使われることも、先ずないので、暗記する必要はない。安心して読み流していただいて結構。

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