2014年6月30日月曜日

今日のスペイン語(105)  カタルーニャの名前

 スペイン人の名前はcastellanoばかりではない。カタルーニャ、バスク、ガリシアそれぞれの地には彼の地特有の名前がある。殆どはcastellanoにも対応するものがあるが(例えばPablo はカタルーニャではPau)、誰でも自分の名前は正しく呼ばれないと不愉快である。カタルーニャの方に紹介されたら、勝手にcastellano名にせず、発音をきちんと確かめた上で、彼の言語で呼びかけるのが礼儀である。アングロサクソンのGeorgeをJorgeと呼んだり、日本人の「林」さんを、「はやし」さんでなく「リン」さんと呼んではいけないのと同じこと。

今日はまずカタルーニャの名前をいくつか覚えよう。以下、括弧内はスペイン語(castellano)、続いて、そこそこ近い日本語の発音。下行にはその名を持つカタルーニャの有名人。

Antoni Antonio)(アントニ)
  聖家族教会等で有名な建築家Antoni Gaudí

Carme Carmen)(カルマ)
  スペインの前政権下で防衛大臣を務めたCarme Chacón。「カルメ」でなく「カルマ」に近いように聞こえる。

Ferrán (Fernando)(フェラン)
  Costa Bravaの超有名なレストランEl Bulliの料理長、Ferrán Adrià。なおEl Bulliは最短でも2年前の予約が必要という。

Jordi Jorge)(ジョルディ)
 4月23日(本の日)の項で説明したサン・ジョルディ。

Pau (Pablo)(パウ)
 チェロの名演奏家Pau Casals
 Lakersのバスケットボール選手Pau Gasol。(昨年たまたまブエノスアイレスの空港であいさつする機会があったが、身長213cmの彼は、本当に大きい。真上を向いて話をするようで、首が疲れた。)
 日本橋のスペイン・レストランSan PauもこのPau

Xavier Javier)(シャビエル)
  今年のFIFAワールドカップではスペインは一次リーグ敗退してしまったが、チームのMFとして活躍したXavi Hernández

Joan (Juan)(ジョアン)
  スペイン抽象画の大家Joan Miró

Josep (José)(ジュゼップ)
  F.C.Barcelona の監督として長年活躍した後現在はバイエルン・ミュンヘンの監督となったJosep Guardiola。「ジュゼップ」に聞こえる。

 
(解説)
1 以上の他にも沢山カタルーニャ語ならではの名前があるので、新しい名前の方と知り合いになる都度、本人にスペリングや発音を確認するのが望ましい。

 
2 ファーストネームだけでなく、苗字も独特である。上に記した苗字の他にも、BalaguerBoshBruguera BusquetsPuig(プッチ)等、実に多い。なお、テニス選手のRafael Nadalはカタルーニャ文化圏のMallorca島出身だが、このNadalの最初のaにアクセントを置くのは誤りで、2番目のaにアクセントがある。テレビのテニス解説者に騙されてはいけない。「ギョエテとは、俺のことかとゲーテ云い。」にならないよう。

 
かつてアルゼンチン勤務時、複雑な体験をした。書店で、「アルゼンチンの作家Manuel Puig(プッチ)の本はどの辺に置いていますか?」と聞いたら、一向に要領を得ない。「蜘蛛女のキス」の著者として世界的に有名なPuigを、何故ブエノスアイレスの本屋が知らないのか、と不思議に思ったが、実はPuigの祖先がカタルーニャからアルゼンチンに移住した頃は「プッチ」だったのが、時を経て、アルゼンチンの社会で「プイグ」の名で著名になったのであった。

 

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