2014年6月7日土曜日

今日のスペイン語(82)  ECBの金融緩和措置


 
  6月5日、欧州中央銀行(ECB)は、定例理事会を開いて、政策金利を0.25%から史上最低の0.15%に下げる、中銀預入金利を0%からマイナス0.1%に下げる等の金融緩和措置を決めた。ユーロ圏で関心の高い話題なので、スペイン紙記事のさわりを読んで基本用語を覚えよう。


(スペイン語記事) El presidente del Banco Central Europeo (BCE), Mario Draghi, no decepcionó este jueves y sacó toda la artillería disponible a estas alturas de la partida para inundar de liquidez la eurozona. Rebajó los tipos de interés al mínimo en sus 15 años de historia, rozando ya el 0%, e impuso una tasa de depósito negativa para cobrarle a los bancos que dejan su dinero ocioso en Fráncfort. Además, impulsó una esperada barra libre de hasta 400.000 millones de euros a la banca a cambio de que preste ese dinero a empresas y consumidores.

El organismo trata de abatir con esta munición al extraño animal económico que mortifica a Europa: una recuperación desesperadamente lenta, la banca incapaz de prestar, el euro fortísimo y, en fin, una inflación en zona de peligro que corre el riesgo de malograr el doloroso ajuste de los últimos años. Con todos los ojos mirándole y tras ocho meses sesteando, Draghi consiguió la unanimidad del banco central —incluida la de los halcones alemanes, así de mal están las cosas— para activar varias medidas excepcionales de liquidez.“(以下略)(6月5日El Paíshttp://economia.elpais.com/economia/2014/06/05/actualidad/1401960482_391770.html

 
日本語訳
  欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は5日(木曜日)、ユーロ圏に資金を充満させ始めるにあたり、関係者を失望させることなく、あらゆる手段を採用した。政策金利を15年の銀行史上最低の水準、つまり0%付近(注:実際には0.15%)まで下げ、また民間銀行が余剰資金をECBに預ける際の金利(中銀預入金利)をマイナスにした(注:0%-01%)。加えて、期待されていた金融機関への返済不要資金の供給については、企業や消費者への貸し出しに利用するという条件で、最大4,000億ユーロまで供給することとした。

 これらのタマを使って、ECBは、嫌になるほど遅い経済回復、貸付できない金融機関、強すぎるユーロ、そして近年の苦しい調整措置を台無しにしかねない危険水域に至ったインフレという、欧州を蝕む経済的害獣を退治しようと試みている。何もしなかった過去8ケ月の後、皆が注目する中で、ドラギ総裁は、流動性を高めるための例外的な措置を発動するのに必要な中央銀行(の理事間)の意見統一を勝ち取った。(ドイツのタカ派の連中も同意せざるを得なかったほど、状況が悪いということである。)

 
(解説)
Banco Central Europeo (BCE):欧州中央銀行。英語のECB(European Central Bank)ではなく、スペイン語ではBCEと略される。

liquidez:英語のliquidityと同じく、流動性即ち市場に出回る資金のこと。

Eurozona:ユーロ圏。EUの中でユーロに参加している諸国のこと。

tipo de interés:政策金利。即ちECBがユーロ圏の民間金融機関に貸し出す際の金利。

tasa de depósito negativa:最近邦字紙によくあらわれる、いわゆる「マイナス金利」。民間銀行がECBに余剰資金を預ける場合に、金利が稼げるのではなく逆に金利を支払うことになると、預入のコストがかかるので、その資金がECBでなく企業や個人への貸し出しに向かうことを期待した措置。

Fráncfort:フランクフルトはECBの所在地。所在地=そこにある機関や組織という言い方は、日本と同じ。例えば霞が関=日本の中央省庁、ワシントン=米国連邦政府。

barra libre:本来はディスコ(最近の用語ではクラブ)でのパーティーのような、飲み放題・食べ放題のこと。今回の4,000億ユーロは民間銀行にとってタダなので、ぴったりはまる表現。

extraño animal económico:この記者の造語。欧州経済の抱える問題を、経済に害を与える変な獣(extraño animal)に喩えている。

artillería, munición:この記者は、ECBの対策が取り組もうとしている経済問題を、「害獣」に喩えているのは上記の通りである。したがって、経済問題の解決=害獣の退治であり、それに使われるのは文字通り「武器」(大砲とか弾薬)である、という話の組み立ての中で使われている表現の仕方である。

tras ocho meses sesteandosestearは「昼寝する」。siestaの動詞形。理事達の意見が纏まらないためにECBは過去8ケ月間、まるで昼寝していたかのように、何もしなかった、という辛辣な表現である。ちなみに、記者の口の悪さで思い出したが、アルゼンチンでは、サッカー選手の動きが悪い時、テレビの解説者は“Messi está dormido hoy.”などと酷評する。

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