2014年5月8日木曜日

今日のスペイン語(49)  スペイン語の諺 その1

 今日はスペイン語の諺について。日本と同様、スペインにも諺や警句の類は非常に多い。むしろスペイン語の方が多いかもしれない。
 スペイン語ネイティヴならば誰でも知っている諺は、会話の中で大いに使われる。短いセンテンスの中に密度の濃い意味が詰まっているからである。
 最近気づいたスペイン語の諺に多い一つのパターンは、「AよりBの方がまし(より良い)」というもの。スペイン語ではMás vale B que A.” BAには名詞や動詞句が入る。このパターンを覚えておくと、これにはまる新しい諺を聞いた時に理解が早いし、時には自作の諺も出来るかもしれない。(その際、欲を言えば、ABが韻を踏むと、下記(4)や(7)のように、ずっと響きが良くなる。)


(タイプ1)
(1)“Más vale buena esperanza que ruin posesión.

(2)“Más vale morir honrado que vivir deshonrado.

 (1)は、ドンキホーテがサンチョ・パンサに語った言葉。騎士(キホーテ)の従者としては、現在の窮状を云々するのでなく、明るい(?)将来の夢に期待すべきだ、という趣旨。現代風に訳せば「乞食の文句より金持ちの夢」だろうか。

(2)はスペインの諺。言うまでもなく、不名誉に生きるより名誉の死を望む、という高潔な意図の表示である。極悪大魔王のような奴につかまって、「貴様の国を裏切れば助けてやるぞ」と脅された時に、口にするであろう言葉。


(タイプ2)
(3)“Más vale algo que nada.

(4)“Más vale duro que ninguno.

(5)“Más vale pájaro en mano que cientos volando.

(6)“Más vale burro vivo que sabio muerto.

(7)“Más vale vino maldito que agua bendita.

 (3)から(7)までは、日本語の諺に当てはめると、いずれも「枯れ木も山のにぎわい」、「花より団子」、「とらぬ狸の皮算用」のようなもの。要するに、上記のタイプ1とは反対の(ないし相当程度異なる)意味。タイプ2の方が多いかもしれない。

(3)は言うまでもなく、「何であれ無いよりはまし」。

(4)に言うduroは昔のスペインの貨幣単位。ユーロ導入前は5pesetas硬貨を意味した。ほぼ6円位。

(5)は、まさに「とらぬ狸(鳥)の皮算用」。

(6)は、「生きたロバは、死んだ賢人よりまし」とは、えらく口の悪い諺だが、言われてみると、確かにそうかもしれない。
 
 
 (7)は、酔っ払いの戯言。彼にとっては聖なる水は何の価値もないのだろう。
 

(タイプ3)
(8)“Más vale la práctica que la gramática.

 こちらは、日本語で言えば「習うより慣れろ」がぴったりくる。外国語学習の真髄を突いた諺かもしれない。


(9)“Más vale tarde que nunca.

 外国語学習者をはじめ習い事を始めようとする年配者にとって、大変心強い諺。英語で言えば“Better late than never.” もっと勇気を与えてくれるのは”Nunca es tarde.”


 

 

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